日本の代表的土壌、褐色森林土の性質は母材によって違うのか

タイトル 日本の代表的土壌、褐色森林土の性質は母材によって違うのか
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 今矢明宏
森貞和仁
小野賢二
藤本 潔
太田誠一
田中永晴
稲垣善之
発行年度 1999
要約 関東・中部低山帯における褐色森林土の化学的性質は岩石や火山灰などの母材の種類によって異なっていた。このことから、森林土壌の持つ機能を多面的に評価する際には母材が重要な要素となることが明らかになった。
背景・ねらい 森林土壌は木材生産の要であるが、最近の環境財としての森林に対する社会の要請にも、樹木成長に加えて水の貯留や浄化、温室効果ガスの放出・吸収など環境形成や国土保全に関わる機能に重要な役割を担っている。日本の森林土壌の約7割は褐色森林土であるが、このような土壌の機能を評価するためには、まず褐色森林土の化学的性質などの潜在能力の変異の幅を明らかにしておく必要がある。

そこで、いろいろな気候条件や、岩石や火山灰などの土壌の原材料(母材)条件の下での褐色森林土の特徴を解析した。
成果の内容・特徴 褐色森林土の中で最も面積が広い適潤性褐色森林土を対象土壌として選定した。気候帯を合わせるために対象地域も関東・中部地方の低山帯とした。また、土壌が持っている潜在的な能力を知ることが重要であるので、伐採のような人間活動による影響を受けにくい下層土壌(B層)を選んだ。さらに、潜在能力の中で重要な働きを持つ粘土と炭素や養分などの化学的性質に焦点を合わせて、母材の違いに対応してどの程度の変異の幅があるかを解析した。

炭素の含量は火山灰を母材とする土壌で著しく高く、他の岩石を母材とする土壌と対照的で(図1)、火山灰由来の土壌が高い炭素貯留能を持つことを確認した。

養分は土壌中の有機物や粘土によって保持され、養分としての陽イオンの保持能力(陽イオン交換容量:CEC)には粘土の量と質が強く関係する。粘土の量は母材の違いによって大きく異なり、花崗岩や斑れい岩由来の土壌では少なく、火山灰由来の土壌では特に多い。一方、CECは炭素含量、粘土含量ともに多いことによるものと考えられるが、火山灰由来の土壌で高い(図2)。これらのことから、養分保持能力には母材が重要な働きを持つことが明らかとなった。

ところが、これらの土壌の中に含まれる養分陽イオンの含量は、CECの高い火山灰由来土壌と低い花崗岩由来土壌の間には顕著な違いがみられない。しかし、調査した土壌の中では砂~泥岩由来の土壌が明らかに多い量の養分陽イオンを保持していた(図3)。

この様に関東・中部地方低山帯の適潤性褐色森林土に限ってみても、土壌の養分量やその貯留能は母材によって大きく異なっていた。その結果、持続的な養分供給・保持や二酸化炭素の貯留など土壌の機能を多面的に評価する際には母材が重要な要素となることが明らかとなった。
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図表2 212493-2.gif
図表3 212493-3.gif
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