光環境管理から見た針葉樹人工林に広葉樹を導入する施業方法の検討

タイトル 光環境管理から見た針葉樹人工林に広葉樹を導入する施業方法の検討
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 石塚 森吉
川崎 達郎
宇都木 玄
発行年度 1999
要約 針葉樹人工林における広葉樹の導入に通した施業法を検討するため、間伐と群状伐採に伴う林内光環境の変化を推定した結果、間伐では林内の明るさを維持することが困難で群状伐採の方が適していることが示された。
背景・ねらい 我が国には1,000万haもの針葉樹人工林が存在するが、長引く材価の低迷や手入れ不足の一斉単純林がもたらす環境インパクトヘの懸念などを背景に、近年各地で、広葉樹を天然更新や植栽により人工林へ導入して混交林や育成複層林へ誘導する試みがなされている。しかし、一般に広葉樹の健全な成長には針葉樹に比べかなり強い光が必要であり(ケヤキ、ナラ類では通常少なくとも20%以上の相対照度が必要)、主に光不足から失敗している例が多い。そのため、本課題では通常の間伐と群状伐採に伴う林内の光環境変化を推定することにより、広葉樹の導入に適した人工林の施業方法を検討した。
成果の内容・特徴 立木配置をもとに林内の任意点の光環境を推定するシミュレーション・モデルを開発し(図1)、モデルが実際のヒノキ人工林内で実測した様々な場所の相対照度をよく再現することを確認した。ここでは、シミュレーションに当たり、平均胸高直径20cm、樹高18m、杖下高10m、樹冠半径1.4m、立木本数1,500本/ha(収量比数0.9)のヒノキ仮想林分(3回目の間伐直前)を想定した。この仮想林分を対象に、間伐処理については立木本数1,000、750、500本/haの3段階とし、群状伐採については、植栽時の列例間1.8m)で5×5列、7×7列、9×9列の範囲を伐採した。伐採後の上木の成長は、50年生で比較的地位の良い場所を想定し、樹高0.3m/年、樹冠半径5cm/年、年輪成長5mm/年とした。また、相対照度は林内の様々な場所で、地上高1mから15cm/年ずつ上昇させて推定した。

シミュレーションの結果、間伐処理では立木本数を1,500-500本/haに落としても、最も明るい場所で1-2年間しか20%レベルの相対照度を維持できなかった(図2)。これ以上の伐採は、後生枝や風害発生の危険性を高めることになる。また、シミュレーションは実際に間伐を行った4林分で測定された平均相対照度の変化とよく似たパターンを示している。一方、群状伐採の経過年数による照度の低下は小さく、場合、7×77列(一辺12.6m)の伐採の場合、最も明るい塀所では10年経過後でもかなり高い相対照度を保っていた(図2)。さらに中心部ばかりでなく、ギャップ(伐採地)の緑を除いたかなり広い部分が明るい結果を示した。

以上の結果をもとに、群状伐採を核に広葉樹を導入する施業方法をイメージしたものが図3である。これは、林内に有用広葉樹が生えている場所や植栽する広葉樹に適した場所を核にとして群状伐採をおこない、集材路、搬出路で繋げていくことで集材作業を容易にするものである。さらに、群状伐採と同時に間伐をおこなえば、より小面積の群状伐採でも明るさのレベルを上げることが可能である。
図表1 212499-1.gif
図表2 212499-2.gif
図表3 212499-3.gif
図表4 212499-4.png
図表5 212499-5.png
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