| タイトル | 北海道におけるコナラ属の遺伝変異 |
|---|---|
| 担当機関 | 森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
田中 京子 石田 清 松崎 智徳 河原 孝行 |
| 発行年度 | 1999 |
| 要約 | アロザイム分析を行った結果、北海道のコナラ集団では、隔離集団においても大集団と同等以上に遺伝的多様性が高いことが示された。また、葉形質の分析から、コナラの隔離集団にはミズナラ・カシワとの交雑によって生じた個体が大集団よりも多く含まれていることが示唆された。 |
| 背景・ねらい | 北海道のコナラ属には、コナラ、ミズナラ、カシワが分布する。これらのナラ類では中間的な形質を持つ個体や集団が見られ、種間で遺伝子交流が高頻度に生じていると考えられている。したがって、コナラ属の遺伝資源保全のために、種内及び種間の遼伝的変異の実態を明らかにすることが重要である。特に、北海道内ではコナラの分布域が狭く、道央部で分布北限に達することなどから、この種では集団の分断・孤立化が生じやすいと予想される(図1)。このような集団の分断・孤立化は遺伝的浮動と近親交配を伴い、分布限界付近では分布域中心部よりも集団内の遺伝的多様性が低くなる一方、集団間の遺伝的分化の度合いが高くなると予想される。このことを検討するため、アロザイムと葉形質を用いて北海道内のコナラ10集団の遺伝的変異を推定した。 |
| 成果の内容・特徴 | 北海道内のコナラ10集団のアロザイム8遺伝子座(AAP-1、AAP-2、FE-1、FE-2、GDH、GOT、MNR、PGI)を分析した結果、1遺伝子座あたりの対立遺伝子数と遺伝子多様度は、それぞれ2.00~2.66、0.18~0.30であり、遺伝的多様性に地理的変化に対応した一定の変化は認められなかった。また、多型遺伝子座の割合と1遺伝子座あたりの平均対立遺伝子数については、道央地域の大集団の値は隔離・半隔離集団の値よりも低かった(表1)。一方、近親交配の度合いを示す固定指数に関しては、コナラ10集団の推定値が0に近い値となり、近親交配の程度はかなり低いものと推定された。これらの結果は、隔離された小集団で遺伝的多様性が減少するという予想に反している。これらのコナラ10集団で集団レベルの葉形質の分散分析を行った結果、葉柄率と葉脈密度以外の9形質(葉幅・葉長・形状比・葉柄長・葉脈数・葉脈角・鋸歯角・鋸歯幅・鋸歯深)に関しては、道央地域の大集団と他地域の隔離・半隔離集団との間に有意な差が認められた。一方、コナラ10集団のこれらの葉形質の値は、すべて道央・道南のカシワ2集団(白老・石狩)・ミズナラ3集団(大沼・広尾・札幌)の値と有意に異なっていた。 以上のコナラ10集団・ミズナラ3集団・カシワ22集団で葉の8形質(葉長・葉幅・葉柄長・葉脈数・葉脈角・鋸歯角・鋸歯幅・鋸歯深)の集団平均値を用いて主成分分析を行った結果、コナラ大集団・コナラ隔離一半隔離集団・ミズナラ3集団・カシワ2集団の4グループが2つの主成分で識別できた(表2、図2)。また、コナラ10集団の中でコナラの隔離一半隔離集団は、カシワあるいはミズナラ集団に近い位置にあった。この結果は、これらコナラ隔離集団では、コナラと他2種との雑種形成が生じやすく、その結果として大集団と異なる葉形質を持ちやすいことを示唆している。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| 図表5 | ![]() |
| 図表6 | ![]() |
| 図表7 | ![]() |
| 図表8 | ![]() |
| カテゴリ | 遺伝資源 |
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