| タイトル | 広域の気候に対する森林影響の評価 |
|---|---|
| 担当機関 | 森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
渡辺 力 大谷 義一 溝口 康子 安田 幸生 |
| 発行年度 | 2000 |
| 要約 | 森林が広域の気候に及ぼす影響を解明するために、地域規模の気候を再現する数値モデル(局地循環モデル)を用いて、森林による蒸散活動の強弱が広域の気温形成に及ぼす影響を明らかにした。 |
| 背景・ねらい | 森林は水分を蒸散することによって日射のエネルギーを大量に消費するため、付近の気温を冷涼に保つ働きをしている。また、その結果、大気中の熱量分布に影響が及び、大気中の流れが変化するので、地域や地球的な規模の気候にも影響が及んでいる。これがいわゆる「森林の気候緩和機能」である。ここでは、海陸風や山谷風といった地域規模の大気循環を再現することのできる局地循環モデルを用い、国土を広く覆う森林が地域規模の気候にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることとした。 |
| 成果の内容・特徴 | 大気の運動や熱の移動を表現する数式を組み合わせ、広域の風速や気温などを再現することのできる数値モデル(局地循環モデル)を構築した。このモデルには、国土地理院の国土数値情報に基づいた現実の地形や土地利用形態のデータが取り入れられており、現実に近い気候分布が再現されるようになっている。図1は、上空の風が弱い快晴日を想定した条件で計算された関東地方における15時の地上風分布である。一般に、晴れた日には、陸上の空気が海上よりもよく暖まり軽くなるので、海上の冷たく重い空気が陸上の空気を押しのけて入り込んでくる(海風)。また、山の斜面が暖まると、その上の空気が暖められ、斜面を上昇する風がおこる(谷風)。図1には、このようにして海から陸へ、そして平地から山地へ向かう風がふくことがよく表されている。実際に、気象庁のアメダス観測点で測定された快晴日の典型的な風の分布は図2のようになっている。 さて、このような気候分布の形成において、森林はどの程度の影響を及ぼしているのだろうか。それを明らかにするために、国土を覆うすべての森林で蒸散の効率が半減したとする仮想的な条件(乾燥条件)で計算を行い、上記の現実的な条件(通常条件)との違いを調べた。図3は、2つの条件で計算された真夏の晴天日の15時における地上気温の差(乾燥一通常)の分布である。森林での蒸散が減少すると、水分の蒸発による熱の消費が少なくなり、その分、森林に接する大気を暖める効果が大きくなる。そのため、乾燥条件では山岳域など森林が多い地域での気温が大きく上昇する。さらに、こうして大気の熱量分布が変化すると、図1に示されたような大気の流れも変化し、熱の移動量が変化するため、森林から離れた地域(平野部や盆地など)の気温も高くなる。つまり、森林が活発に蒸散を行うことによって広域の気温が冷涼に保たれているのである。 なお、本研究は農林水産技術会議環境研究「農林水産業及び農林水産物貿易と資源・環境に関する総合研究」による。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| 図表5 | ![]() |
| 図表6 | ![]() |
| カテゴリ | 乾燥 |
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