| タイトル | 郷土種を使って島に緑を取りもどす -三宅島火山災害地の森林復旧に挑む(Ⅱ)- |
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| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
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| 研究担当者 |
岡部 宏秋 山中 高史 赤間 慶子 津村 義彦 岩田 洋佳 |
| 発行年度 | 2002 |
| 要約 | 三宅島の火山灰堆積地における土壌侵食の危険度を森林被害状況や現地侵食実験等により図化した。土壌侵食を防止するには硬い火山灰層を破砕して、緑化植物を導入することが望ましいと考えられた。 |
| 背景・ねらい | 今回の噴火は緑濃い島を一変させた。見上げる雄山はどこからみても灰色、その後も火山ガスの追い打ちが続いている。今、誰もが、島に緑を戻してと願っている。しかしながら、緑化のために、もしこの広大な荒廃地へ外来植物や化学肥料などが持ち込まれたとしたら、島のそして沿岸の生態系はきっと撹乱されるに違いない。対案は生き残った郷土植物やこれらの根を通じてその生育を支える共生微生物を活用した生態系にやさしい植生回復技術にあると考えられた。そこでまず、遺伝子汚染の少ない島在来の植物、また噴火によって影響を受けたと考えられる共生微生物の実態解析に取り組んだ。
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| 成果の内容・特徴 | 遺伝子汚染の少ない種子源を探す上記3種について伊豆諸島・伊豆半島における各集団の遺伝的な分化や変異をそれぞれ遺伝性の異なるゲノムで、すなわち分化は両性遺伝する核ゲノムをアロザイム分析及びAFLP分析によって、変異は母性遺伝する葉緑体DNAを遺伝子間領域の塩基配列多型によって解析した。遺伝性を地域間で比較したところ、イタドリの遺伝的分化の程度は全体の17%、三宅島の集団の変異は他の島にないもので、オオバヤシャブシの分化の程度は4%と低く、その変異も伊豆半島を除いた集団と共有し、ススキも6%程度で、同じく他島と共有していた。地図上で集団間の近縁関係を表すと(図1)、イタドリは独自な集団とみなされ、他地域からの苗や種子の導入は控えるべきと判断した。一方、オオバヤシャブシは神津島集団と、ススキは御蔵島集団と最も近縁で、三宅島で入手困難な場合には採取候補地として有力視された。これら3種とも種子源とする集団は異なっていた。遺伝的背景だけでなく、有史以来の歴史がここに上げた3種の分布に影響を及ぼしていた可能性がある。遺伝的な変異性をもとに、形態的及び生理的特徴、分布域、過去の分布変遷などを考慮し、苗や種子源を確保する必要がある。 埋もれた土に緑を育む微生物を探す雄山は爆発によって厚い火山灰におおわれ中腹より上は緑を失った。根系を必要とする共生微生物への影響が大きいと考えられ、その実態と植生回復への活用の可能性を調べた。火山灰や埋もれた土壌に対し、現地あるいは島から持ち帰った土壌による各菌のバイオアッセイ(生物検定)、またススキ群落でAM菌の現地調査を行った。埋もれた土壌では、AM菌が植林初期だった地点で多量に認められ、成熟広葉樹林だった地点で少量、草地だった所では生き残っていたススキの分布に対応した感染マップ(図3)でわかるように大きなコロニーを作っていた(図2、右)。また、オオバヤシャブシの根粒(図2、左)や外生菌根菌(図2、中)が多くの地点で確認された。火山灰では、各微生物群ともほとんど確認できなかったが、落葉が混在したところでは根粒菌やAM菌の中でも小型胞子のGlomus属菌が認められた。泥流土では、菌根菌、根粒菌ともにわずかにみられ、これは撹乱によって埋もれた土壌が混入したものと思われた。 火山灰という過酷な「ふるい」にかけられ生き残ったこれら微生物群は、島内での位置、火山灰の厚さや元の植生の影響を色濃く受けていた。これらのなかから多地点で多量にみられ、とくに火山灰で増殖していた種類は緑を失った雄山の緑化に有用な候補と考えられた。なお、本研究は東京都委託「三宅島森林復旧対策調査」によった。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| 図表5 | ![]() |
| 図表6 | ![]() |
| カテゴリ | 肥料 |
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