| タイトル | 木質構造接合部の新たな補修・補強方法とその効果 |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
軽部 正彦 林 知行 原田 真樹 |
| 発行年度 | 2003 |
| 要約 | 大地震などにより傷んだ接合部を補修する新しい技術として減圧による接着剤充填方法を開発した。充填方法を加圧から減圧に変えることで多くの利点が生まれた。実大試験体を使った加カ実験で、その効果を確認した。 |
| 背景・ねらい | 鋼板挿入式ドリフトピン接合とは、鋼板とピンを使った木質材料の接合方法です(図1)。大地震などにより大きな力が作用した時には、ピンが曲がり木材にめり込むことでエネルギーを吸収します。めり込む量があまりに大きいと、木材には繊維に沿った割れが生じます。このような損傷を受けた接合部は、交換するのが望ましいのですが、費用や時間的制約から、補修・補強して使い続けたい場合も多いと思われます。 コンクリート構造物では、亀裂の表面をシール材で塞ぎ、内部に接着剤を注射器やポンプで加圧充填して補修する技術が確立されています。しかし、この技術をそのまま木材の接合部に適用してみると、補修したい損傷部分に接着剤が届かなかったり、接着剤が漏れ出して周囲に飛散したりして、上手く行きませんでした。この研究では、充填方法を加圧から減圧に変えることでこれらの問題を解決し、実大の試験体でその効果を確認しました。 |
| 成果の内容・特徴 | 接着剤による補修充填方法まず、接合部全体をシール材(ビニールシート)で包み、接着剤をその中に流し込みます(図2)。次いで接着剤を柔軟なシール材の上から手で押さえるなどして、ピンのめり込みによる隙間や割裂などの充填箇所に誘導し、包み込んだ内部の空気を家庭用の掃除機などで吸い込んで減圧します。このとき、ピン周りの隙間や割れて出来た亀裂の中の空気と接着剤が入れ替わり、気泡が気室に集められ、接着剤が泡立ってきます(図3)。この方法では、シール材に透明で柔軟なビニールシートを使います。そのため、外部から接着剤の動きが観察できるほか、接着剤を亀裂などに誘導することもできます。また減圧するので、接着剤がシール材の外へ漏れ出さないばかりか、空気漏れを作業途中に簡単に塞ぐことができます。この方法は木材・木質材料の接合部を対象に考案したものですが、他材料でも、異なった種類の材料を組み合わせても適用でき、同じ効果が期待できます。もちろん、補修だけではなく補強にも応用が可能です。 効果を試す実験とその結果まず実際の接合部と同じ大きさの試験体を、最大変形角1/15まで繰返し加力して、大地震と同じ損傷を与えました(図4)。変形を元の形まで戻した後に、試験体を加力装置に取り付けたまま、コンクリートの表面亀裂補修用のエポキシ接着剤を充填しました(写真1)。接着剤が固まった後、同じ変形量と同じ回数の繰返し加力をしました。そして試験体に与えた力と変形角の関係を補修の前後で比較しました。接着剤で隙間を埋め、割れを接着した接合部は、補修前に比べて高い荷重を記録していました。接着剤充填によって効果的な補修が出来ているだけではなく、補強の効果もあったことが、明らかになりました(図5)。 試験体は全部で3体を実験しました。繰返し加力の折り返し点荷重を全て抜き出してみると、補修後の値のほとんどが補修前を上回っていました(図6)。 接合部を解体してみると、始めの加力で生じためり込みや割れは接着剤で十分に満たされていました。しかし同時に、何本かの破断しているドリフトピンが見つかりました。そのため、実際の接合部を補修する場合には、接着剤で補修する前に、ドリフトピンの交換が必要かどうかを検討する必要があります。 なお、この成果は特許出願中です。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| 図表5 | ![]() |
| 図表6 | ![]() |
| 図表7 | ![]() |
| 図表8 | ![]() |
| 図表9 | ![]() |
| 図表10 | ![]() |
| 図表11 | ![]() |
| 図表12 | ![]() |
| 図表13 | ![]() |
| 図表14 | ![]() |
| カテゴリ |
| 表面熱可塑化による木材の無接着剤熱圧接合 |
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