根圏微生物の相乗効果を活用した森林再生

タイトル 根圏微生物の相乗効果を活用した森林再生
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 山中 高史
岡部 宏秋
赤間 慶子
発行年度 2004
要約 樹木根圏に棲息する微生物を組み合わせてオオバヤシャブシに接種すると、オオバヤシャブシの成長が相乗的に向上しました。自然災害地における森林再生に植物とその共生微生物の利用が期待されます。
背景・ねらい カバノキ科の樹木であるオオバヤシャブシは、窒素養分が少ないやせた土地でも良く育つことから、崩壊地などの治山造林に多く用いられます。これはこの樹木の根に作られたサンゴ状の組織(根粒:写真)の中に存在する微生物のフランキア菌が、大気中の窒素を固定し、その窒素を樹木が利用するからです。つまり、オオバヤシャブシは、フランキア菌との共生により、成長に必要な栄養分を自ら獲得するのです。こうして育った樹木の葉や枝が地面に落ち、その分解により、窒素は土壌へ与えられ、土壌の栄養条件が改善されます。そのため、オオバヤシャブシは、その後の植物群落の遷移や植生回復にも大きな影響を及ぼします。このほか、オオバヤシャブシの根には土壌中からの栄養や水分の吸収を助ける共生菌(菌根菌)や、土壌中の無機養分を溶かして樹木の根が吸収しやすくさせる根圏細菌(蛍光性シュードモナス細菌)などがいます。今回、これらの根圏微生物を複数組み合わせて接種し、オオバヤシャブシへの成長の効果を調査しました。
成果の内容・特徴

根圏微生物を接種すると

オオバヤシャブシの成長は根にフランキア菌を接種することで約4倍に飛躍的に向上しました。菌根菌や根圏に生息する細菌をあわせて接種するとオオバヤシャブシの成長はさらに1.3倍向上しました。空気中の窒素を固定する能力は、フランキア菌を接種したときにのみ見られました。
窒素を供給する根粒菌、養分や水分の吸収効率を高める菌根菌、ミネラルの可溶化を促進させる根圏細菌の組み合わせによりその機能が相乗的に発揮されることが明らかになりました。

森林再生への応用

オオバヤシャブシは、関東以西の太平洋岸に多く自生しています。2000年に噴火した伊豆諸島三宅島においても、過去の噴火による被災地を中心に広く分布していました。噴火によって厚く堆積した火山灰や有毒な二酸化硫黄の噴出により、三宅島の植生は壊滅的な被害を受けてしまいました。森林再生は、島の復興にとって不可欠です。その際、もともと、この島で先駆樹種として育っていたオオバヤシャブシと共生する様々な微生物の利用は、島の生態系の保全にとっても重要であり、相乗効果をもたらす組み合わせ接種は森林再生技術として有効であると考えられます。

本研究は、交付金プロジェクト「多重共生系における各菌の生育様式と宿主の生育への影響の解明」による成果です。

詳しくは:Yamanaka, T. et al. (2005) Journal of Forest Research 10 (1):21-26をご覧下さい。
図表1 212641-1.jpg
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