| タイトル | 森林からの自然の恵みの未来予測 |
|---|---|
| 担当機関 | (国)森林総合研究所 |
| 研究期間 | ---- |
| 研究担当者 |
小黒 芳生 黒川 紘子 小林 卓也 滝 久智 正木 隆 |
| 発行年度 | 2021 |
| 要約 | 人類の生活はさまざまな自然の恵みに依存していますが、気候変動や土地利用変化などにより自然の 恵みは減少し続けています。自然の恵みを持続的に利用するためには、今後、自然の恵みがどのよう に変化していくのかを予想することが必要です。このため、自然の恵みの一つであるスギ・ヒノキの 木材生産可能量が2050年までにどう変化するのかを予測しました。その結果、どのような将来シナ リオでもスギ・ヒノキの木材生産量は減少すると予測されましたが、減少量は人口分散・自然資本活 用シナリオで少ないと予測されました。その一方、耕作放棄地を森林に転換することで自然資本とし ての価値や炭素吸収が増加する可能性があることがわかりました。 |
| 背景・ねらい | 人類の生活は森林による二酸化炭素吸収や木材の生産な ど、さまざまな生態系サービス(自然の恵み)に依存してい ます。しかし、気候変動や土地利用変化などの人為的な要 因により自然の恵みが減少し続けています。将来にわたって 持続的に自然の恵みを利用するためには、まず今後自然の 恵みがどのように変化するかを予想する必要があります。 |
| 成果の内容・特徴 | ■5つの将来シナリオ そこで、この研究では自然資本を利用する社会・人工資本を利用する社会という軸、人口が都市に集中する社会・人口が分散する社会という軸の2つを組み合わせ4つの将来シナリオを作成しました(図1)。これら4つのシナリオに現状維持を合わせた5つのシナリオの下での2050年までの自然の恵みの変化を予測しました。この予測には自然の恵みと土地利用や人口分布などとの関係を学習させて開発した機械学習モデルを用いました。 ■2050年までの木材生産量変化と需要の変化 自然の恵みの一つであるスギ・ヒノキ木材生産量の2050年までの変化を見ると、どのような将来シナリオでも生産量は減少する場所が多いと予測されました(図2、ただし個体密度や個体サイズは現在の全国平均と変わらないと仮定しました)。さらに生産が増加した場所と生産が減少した場所に分けて生産量の変化を集計すると、全国での生産量はどのシナリオでも減少すると予測されましたが、自然資本利用・人口分散シナリオでは減少量が少ないという予測になりました(図3)。また、生産量の減少をもたらす主な要因はスギ林・ヒノキ林面積の減少であると予測されました(図3)。その一方、人口から計算した現在・将来の木材需要と生産可能量とのバランスを見ると、どのシナリオでも木材の供給可能量は需要よりも多いことが予測されました(図4)。 ■耕作放棄地の森林転換の効果 さらに、全国で増加している耕作放棄地を森林に転換した場合、日本全体での自然資本の価値や炭素貯蓄がどう変化するのかを予測しました(図5)。その結果、2030年までに耕作放棄される場所を森林に転換した場合、自然資本の価値と炭素貯蓄量の両方が増加すると予測されました。また、耕作放棄地を人工林と二次林に転換した場合を比べると、自然資本の価値の増加量は耕作放棄地を二次林に転換した場合の方が多く、炭素貯蓄の増加量は人工林に転換した場合の方が大きいことがわかりました。 ■まとめ 2050年の木材需要はスギ・ヒノキの年間木材生産可能量より少ないと予測された一方、耕作放棄地を森林転換する場合、自然資本としての価値の増加は人工林より二次林への転換の方が大きいと予測されました。これらの結果は、さまざまな自然の恵みを維持するためにはさまざまな林種が必要であることを示していると考えられます。 ■研究資金と課題 本研究は(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費「S15 社会・生態システムの統合化による自然資本・生態系サービスの予測評価」(JPMEERF16S11500)により実施しました。また、本研究に用いた気候データの一部は「アメダスデータのメッシュ化プログラムver.4(農研機構)」を用いて作成しました。 ■文献 Kumagai et al. (2021) Natural capitals for nature’ s contributions to people: the case of Japan. SustainabilityScience. (印刷中) ■専門用語 自然資本:自然の恵みを生み出す自然そのもののこと。本研究では自然資本の経済価値はアンケート調査による支払い意思額により求めた。 人工資本:設備や建築物、インフラなどの人工的に作られた資本の総称。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| 図表5 | ![]() |
| 研究内容 | https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2021/documents/p16-17.pdf |
| カテゴリ |
| 亜寒帯北部のカンバ林の枯損被害のモニタリング |
| ブナ天然林で森林のセラピー効果を検証 |
| 無塩素漂白法の開発 |