| タイトル | 森林浴で免疫能を高め、健康な体を維持する |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
香川 隆英 大平 辰郎 松井 直之 李 卿 宮崎 良文 朴 範鎭 |
| 発行年度 | 2008 |
| 要約 | 東京のサラリーマンに森林浴をしてもらい、健康のバロメーターであるヒトNK(ナチュラル・キラー)活性を測ったところ、旅行前より50%以上高まり、1ヶ月後にも効果が持続するなど、森林浴の健康増進効果があることが分かりました。 |
| 背景・ねらい | 森林浴は、ストレス解消や健康増進のためのセルフメディケーション*の手段として、大変関心が高まってきています。一方、森林を維持、保全しながら木材生産以外にも活用し、地域振興を図る手段としても着目されています。この森林浴をさらに普及させるためには、免疫機能の向上など森林浴の医学的な効果を明らかにすることが大切です。 そこで、東京のサラリーマンに2泊3日の森林浴をしてもらい、ヒトNK(ナチュラル・キラー)活性やリンパ球内抗ガンタンパク質が、一般の都市部への観光旅行と比べてどの程度増加し、その結果健康への効能があるかを明らかにしました。 |
| 成果の内容・特徴 | 2泊3日の森林浴の効果東京の男性サラリーマン12名(35~56才)に、日本の森林浴発祥の地でもある長野県上松町の赤沢自然休養林で2泊3日の森林浴をしてもらいました(写真1)。午前と午後の2時間程度、休憩しながらゆっくりと森林浴を行い、翌日の朝採血しNK活性、NK細胞数、細胞内の抗がんタンパク質などを測定します。ここで、NK活性とはナチュラル・キラー活性のことで、ガン細胞やウイルスを攻撃し破壊するNK細胞の活性のことをいいます。3日間の森林浴によって、ヒトNK活性が森林浴前に東京で測定した値よりも、1日目で43%、2日目で56%の割合で上昇しました。さらに、NK活性は森林浴後東京に帰り、1週間経ったあとにおいても45%高いまま維持され、1ヶ月後においても23%高く持続していることが分かりました(図1、統計的な有意差有り)。そして、NK細胞がガン細胞などを攻撃する際放出する3種類の抗ガンタンパク質、グラニューライシン、パーフォリン、グランザイムA・B がいずれも増加し、効果が持続することも分かりました。このように、2泊3日の森林浴で都会のサラリーマンは免疫能が5割以上高くなり、1ヶ月間もある程度高いまま効果が持続することが分かったのです。 一般の旅行との比較一方、同じ東京のサラリーマンの方々に2泊3日で名古屋市の観光旅行に行ってもらいました。文化財の見学などをしてもらい、NK活性を測ったところ、森林浴のように活性の上昇は認められませんでした。このことから、一般の都市への観光旅行と比較した場合には、森林浴には免疫能を高める効果があると考えられます。森林浴はこのようにNK活性を上昇させることから、ガンの予防効果が期待されます。一方、森の成分の一つであるフィトンチッド(樹木が放出する化学物質)の香りを、被験者の就寝時に嗅いでもらった実験では、血圧の低下が認められたことも分かっています。ストレス過多の都市住民に全国の森林地域で森林浴をしていただき、心身をリラックスさせて免疫能を上げ健康を維持することで、医療費の増大が抑制され、森林の活用・整備や地域の振興も期待されます。*セルフメディケーション;生活習慣病を予防するための食生活や運動習慣など、できるだけ自分で健康管理すること。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| カテゴリ | くり |
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