森林浴が働く女性の免疫機能を高め、ストレスホルモンを低下させた

タイトル 森林浴が働く女性の免疫機能を高め、ストレスホルモンを低下させた
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 香川 隆英
高山 範理
李 卿
川田 智之
大平 辰郎
宮崎 良文
発行年度 2009
要約 都会で働く女性看護師に2日間の森林浴をしてもらい、がん細胞などを殺傷するNK(ナチュラル・キラー)細胞活性を測ったところ、旅行後1週間経っても33%高いなど、森林浴が健康維持に役立つことが分かりました。
背景・ねらい 現在日本人は、日常生活の多くの時間を人工環境下で過ごしているため、様々なストレスにさらされています。こうしたストレスが高まってくると、人々の身体をウイルスなどの外敵から守ってくれる免疫系の働きが弱まってしまい、その結果、がんやウイルスに対する抵抗力が低くなったり、風邪にかかりやすい身体になってしまいます。最近になって、森林浴が東京で働く中高年サラリーマンなどのストレスを軽減したり、免疫機能を高める効果があることが分かってきました。しかし、ホルモンの分泌などが男性と異なる女性にも、森林浴の効果があるかは分かりませんでした。そのため、都会で働く女性看護師に2泊3日の森林浴をしてもらい、その医学的効果を解明しました。
成果の内容・特徴

森林浴で働く女性の抗がん免疫機能が上がる

森林浴による免疫機能への効果を明らかにするため、東京都内の大学付属病院に勤める女性看護師13名に、長野県信濃町にある森林セラピー基地「癒しの森」に滞在し、ブナやミズナラの落葉広葉樹林やスギの人工林などのセラピーロードを、2日間森のガイドと一緒にゆっくり散策してもらいました(写真1、2)。森林浴の翌日の朝8時に採血してNK細胞の活性やNK細胞が放出するパーフォリン、グラニューライシン、グランザイムAとBといった抗がんタンパク質の量などを測りました。NK細胞とは、白血球内のリンパ球の一種であるナチュラル・キラー細胞のことで、がん細胞やウイルスを攻撃して殺傷する役割を持ちます(図1)。一方、女性は男性と異なりプロゲステロンやエストラジオールの女性ホルモンがNK活性に影響を与えるため、これらの濃度も測りました。また、副腎から分泌されるホルモンで、血圧や心拍数を上昇させるアドレナリンなどの尿中濃度を測定しました。さらに、森林浴の持続効果を調べるために、森林浴から東京に帰って1週間後と1ヵ月後にも同じように免疫機能などを測りました。
その結果、2日間の森林浴で、NK活性が東京にいるときより38%も高まり、1週間後は33%高いまま持続し、1ヶ月後でも10%高く免疫機能が持続していることが分かりました(図2)。NK細胞内のパーフォリンなどの抗がんタンパク質も、2日間の森林浴で高まり、1週間維持され1ヶ月後もある程度効果が持続することが分かりました。一方、女性ホルモン及びその他の要因によるNK活性への影響は認められませんでした。人がリラックス状態にあると減少するといわれている、尿中のアドレナリン濃度については、森林浴1日目で57%低下し、2日目では68%も低下しました(図3)。森林浴でストレスホルモンが3分の1に減少したのです。

森林浴で健康な身体を作る

森林浴は女性のNK活性や細胞数、抗がんタンパクを上昇させ、この効果は最低1週間、1ヶ月後もある程度は持続することから、がんや風邪などの予防効果が期待されます。そのため、ストレス過多の都市住民に全国の森林地域で森林浴滞在をしていただき、免疫機能を上げ、ストレスホルモンを減少させ健康を維持していくことで、森林の利活用や地域振興・医療費の増大抑制に繋がることが期待されます。

詳しくは、Qing Li et al.,(2008) Journal of Biological Regulations & Homeostatic Agents 22(1):45-55 をご覧下さい。
図表1 212736-1.jpg
図表2 212736-2.jpg
図表3 212736-3.gif
図表4 212736-4.gif
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カテゴリ くり

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