タイトル | ペチュニアの覆輪模様の発現機構 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 花き研究所 |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
中山真義 福田直子 大宮あけみ 斉藤涼子(東京理科大学) |
発行年度 | 2003 |
要約 | ペチュニアの基部着色覆輪はカルコン合成酵素の、外縁部着色覆輪はフラボノール合成酵素の部位特異的および花弁成長期特異的な転写制御によって発現する。 |
キーワード | ペチュニア、覆輪、アントシアニン、フラボノイド、カルコン合成酵素、フラボノール合成酵素 |
背景・ねらい | 花きには花弁の外縁部と内側基部の色彩が変化した覆輪品種が存在する。覆輪は花きに高い価値を付加するのみならず、組織分化を理解するための極めて有効な材料であると考えられる。ペチュニアには外縁部白色-基部着色型品種と、外縁部着色-基部白色型品種が存在する。ペチュニアの主要色素はアントシアニンであり、有機酸からフラボノイドを経て生合成される。それぞれの品種のアントシアニン生合成系を解析し覆輪の形成機構を解明する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 生合成産物についてみると、外縁部白色-基部着色型品種‘ローズピコティー’においては、先端の白色部分における有機酸の特異的な蓄積が花弁の全ての生育ステージで認められる(図1)。生合成遺伝子の発現に関しては、有機酸からフラボノイドの代謝を触媒する酵素であるカルコン合成酵素の特異的な転写の抑制が、外縁部において認められ、この抑制は全ての生育ステージで認められる(図2)。 2. 一方、外縁部着色-基部白色型品種‘ローズモーン’においては、基部の白色部分でフラボノイドの特異的な蓄積が、生育中期以降で認められる。吸光特性から検出されたフラボノイドはすべてフラボノールと考えられる。生合成遺伝子の発現に関しては、フラボノール合成酵素の特異的な転写の活性化が、生育中期に白色部分において認められる。 3. 外縁部白色-基部着色型品種の覆輪は、花弁の生育全期間にわたり外縁部におけるカルコン合成酵素が不活性化し、アントシアニンの合成が抑制されることで形成されると考えられる。外縁部着色-基部白色型品種の覆輪は、花弁の生育中期に基部におけるフラボノール合成酵素が活性化し、アントシアニンの合成が抑制されることで形成されると考えられる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 部位・時期特異的な遺伝子の発現解析の手がかりとなる。 2. 花きにおける新たな花模様作出の基礎的な知見となる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 品種 ペチュニア |