タイトル |
極早生・良食味のリンゴ新品種候補「リンゴ盛岡49号」 |
担当機関 |
果樹試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
阿部和幸
羽生田忠敬
加藤秀憲
樫村芳記
吉田義雄
古藤田信博
小森貞男
真田哲朗伊藤祐司
増田哲男
定盛昌助
土屋七郎
副島淳一
別所英男
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発行年度 |
1997 |
要約 |
リンゴ新品種候補「リンゴ盛岡49号」は、「あかね」に「アーリー・ブレイズ」を交雑して育成した極早生の赤色リンゴ系統である。着色がやや不良で果梗が短いが既存の極早生品種と比べて良食味で、日持ち性が優れている。
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背景・ねらい |
東北北部で8月に成熟する極早生の優良品種は現在なく、この時期の需要に見合う優良品種の育成が必要である。そのため、リンゴ第3次新品種育成試験において、わが国の特徴ある品種と、海外から導入した極早生品種との交雑を行ない、果実品質が優れ、生産力の高い早生の優良品種育成を試みた。
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成果の内容・特徴 |
- 昭和47年(1972)に「あかね」に「アーリー・ブレイズ」を交雑して育成した。「4487」の個体番号で調査を行い、昭和57年(1982)に極早生の優良系統として一次選抜した。平成元年(1989)から「リンゴ盛岡49号」の系統名で、リンゴ第3回系統適応性検定試験に供試した結果、その優秀性が注目され、平成9年度系統適応性・特性検定試験成績検討会において新品種候補にふさわしいとの結論が得られた。
- 樹勢は中程度で、樹姿は直立する。短果枝の着生は多く、えき花芽の着生も多い。「ふじ」等の主要栽培品種との交雑和合性は高く(表1)、生産力は中程度である。収穫前落果は少ない。主要病害の斑点落葉病には抵抗性、黒星病には罹病性である。
- 盛岡における成熟期は8月中旬で、「きざし」より約1週間早い。大きさは通常200g前後で、やや小さい。果皮色は赤で、縞が入るが、着色の程度はやや少ない。果形は円で、果梗が短い。糖度(Brix)は12.4%、リンゴ酸含量は0.6g/100ml前後を示し、やや酸味が強く甘味が不足しているが、極早生としては食味良好である。肉質は歯ざわりが良く、果汁も比較的多い。貯蔵可能期間は普通貯蔵で5~7日、冷蔵で45日前後であるが、極早生としては日持ち性が比較的良い(表2)。
- 系統適応性検定試験結果をみると、成熟期は長野で7月下旬、東北北部で8月上中旬、北海道で8月下旬となっている。果実の大きさは134~230gである。糖度は10.4~14.2%、酸度は0.5~0.7g/100ml前後で、食味良好と評価する場所が多かった。一方、小果であること、着色がやや不足していること、果梗が短く、収穫時に傷が付きやすいことなどが欠点として指摘されている(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 東北地方で盆時期の需要に応えうる、地場消費向けの極早生品種として有望と考えられる。
- 樹姿は直立性を示すので、若木の間に枝梢を誘引し、主枝および亜主枝を開かせる必要がある。また、小果となりやすいので、摘花や早期摘果によって果実肥大を促す必要がある。着色程度はやや少ないため、葉摘み等の着色管理に努める必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
黒星病
新品種
新品種育成
抵抗性
品種
良食味
りんご
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