タイトル |
SSR 分析によるブドウの品種識別 |
担当機関 |
山梨県果樹試験場 |
研究期間 |
1986~1998 |
研究担当者 |
近藤真理
三宅正則
山本俊哉*
松田長生*
池谷祐幸*
別所英男
林建樹*(*果樹試験場)
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発行年度 |
1999 |
要約 |
SSR(Simple Sequence Repeat)を用いた DNA 分析によって、ブドウの品種識別が可能である。
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背景・ねらい |
最近、生物の品種や個体を特定・識別するために DNA を調べることが多い。DNA は栽培条件や気候などの影響をうけないので、外観調査に DNA分析結果を加えれば、より正確な識別が可能となる。 SSR(Simple Sequence Repeat)はゲノム中で塩基が反復(GTGT、GAGAGAなど)している領域のことで、反復回数の違いなどに起因する変異によって品種識別に利用されている。今回はこれを用いてブドウの品種識別を試みた。 果樹試験場の依頼研究員として行った成果である。
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成果の内容・特徴 |
- ブドウ 12 品種を材料として、DNA 抽出及び SSR 分析を行った。その結果、4種類の SSR プライマー(VVMD5、VVMD8、VVS1、VVS2)を用いることによって 10 品種の識別ができた(表1)。ピーク位置が既存の報告と1~2bpずれている品種もあるが、これは検出法の違い(既存の報告はRI検出、本試験は蛍光検出)によると思われる。
- 「シュペートブルグンダー」と「ブラウブルグンダー」は、「ピノ・ノワール」の異名同種といわれている。これらには形態的な違いが認められたが、SSR 分析では識別することはできなかった(表1)。
- 当場で保存している「メルロー」と「ピノ・ブラン」については、4種類の SSR において既存の報告とピーク位置が異なっていたため、既存の系統とは違うと思われる(表1)。
- SSR による親子鑑定について「甲斐ノワール」(ブラッククイーン×カベルネ・ソーヴィニヨン)を用いて検討した。その結果、「甲斐ノワール」は両親のバンドを一つずつ受け継いでおり、SSR 分析は親子鑑定にも有効であった(図1) 。
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成果の活用面・留意点 |
- 効率的にブドウ育種を行うための手段の一つとして、SSR 分析を品種の確認や実生の交雑親の推定などに利用することが可能である。
- 品種識別の精度を上げるためには、SSR プライマーの数を増やして分析する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
育種
栽培条件
品種
ぶどう
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