早生で食味良好な完全甘ガキの新品種「甘秋」

タイトル 早生で食味良好な完全甘ガキの新品種「甘秋」
担当機関 (独)農業技術研究機構 果樹研究所
研究期間 1986~2001
研究担当者 山田昌彦
山根弘康
佐藤明彦
平川信之
岩波 宏
吉永勝一
小澤俊治
角谷真奈美
三谷宣仁
吉岡美加乃
中島育子
発行年度 2001
要約 新品種「甘秋」(カキ安芸津14号)は「新秋」に「18-4(富有×興津16号)」を交雑して育成した早生の完全甘ガキである。果実成熟期は「伊豆」と「松本早生富有」の中間で、食味は良好である。汚損果の発生が多い。
キーワード カキ、完全甘ガキ、新品種、早生
背景・ねらい カキには甘ガキ品種と渋ガキ品種があるが、最も望ましいのは安定して甘ガキを生産できる完全甘ガキ品種である。経済栽培されている甘ガキ品種は、中~晩生である「富有」、「次郎」及びその枝変わり品種が主体である。早生の完全甘ガキとしては、「伊豆」が栽培されているが、収量性と日持ち性が劣り、汚損果やへたすき果の発生が多い等の欠点が多いため、優れた早生品種開発への要望が強い。そこで、2000年(平成12年)に極早生の完全甘ガキ新品種「早秋」を発表、命名登録した。それに続き、更に多様な早生の完全甘ガキ品種の育成を図る。
成果の内容・特徴
  1. 1986年(昭和61年)に果樹試験場安芸津支場(現:農業技術研究機構果樹研究所ブドウ・カキ研究部)において「新秋」に「18-4{富有×興津16号(晩御所×花御所)}」を交雑して育成した系統である。
  2. 1996年(平成8年)から 2001年(平成13年)まで系統番号「カキ安芸津14号」としてカキ第5回系統適応性検定試験(系適)において検討を続けた結果、2002年(平成14年)1月の同試験成績検討会において新品種候補として適当であるとの結論を得た。
  3. 果実の甘渋性は完全甘ガキである。果実成熟期は早生で、「伊豆」と「松本早生富有」の中間の時期に成熟する(表1)。果形は扁平で、果実重は「松本早生富有」よりやや小さく、育成地では平均248gとなる(図1)。果皮色はあまり赤くなく、育成地ではカラーチャート5.8程度である。適熟果の肉質は緻密で、果汁の多さは中程度である。糖度が高く、「伊豆」より 2.5°Brix、「松本早生富有」より1.5°Brix高く、赤道部で18°Brix程度であり、食味は良好である。果頂部は果底部よりやや早く成熟する傾向がある。日持ち性は優れ、育成地では常温で17日程度日持ちする。へたすき果、果頂裂果もほとんど発生しない。しかし、汚損果の発生が多く、雲形状汚損が多い。
  4. 樹勢は中程度で、樹姿は開張と直立の中間である。雌花の着生は多い。雌花の開花期は「松本早生富有」とほぼ同時期である。雄花は少し着生する。単為結果力が高く、種子形成力もかなり高いので、生理落果は少なく、結実は安定している。果実はチャノキイロアザミウマの被害を少し受ける。
成果の活用面・留意点
  1. 完全甘ガキであり、夏秋期の気温の高い地域に適応し、一般に「松本早生富有」、「富有」、「次郎」、「前川次郎」の栽培地域で栽培できる。
  2. 早生で糖度が高く、食味が良いが、汚損果の発生が多いので生産・販売に注意が必要である。
図表1 213023-1.jpg
図表2 213023-2.jpg
カテゴリ かき カラー 新品種 単為結果 品種 品種開発 ぶどう 良食味

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