タイトル |
大粒で肉質が優れるブドウ新品種「オリエンタルスター」(ブドウ安芸津24号) |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 |
1989~2003 |
研究担当者 |
山田昌彦
山根弘康
佐藤明彦
平川信之
岩波 宏
吉永勝一
三谷宣仁
白石美樹夫
小澤俊治
吉岡美加乃
中島育子
中野正明
中畝良二
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発行年度 |
2003 |
要約 |
新品種「オリエンタルスター」は「ブドウ安芸津21号」(「スチューベン」×「マスカット・オブ・アレキサンドリア」)に「ルビー・オクヤマ」を交雑して育成した大粒で肉質が優れ、栽培容易な紫赤色の二倍体のブドウである。
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キーワード |
ブドウ、新品種、大粒、種なし
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背景・ねらい |
わが国におけるブドウは、「巨峰」、「ピオーネ」等大粒品種の消費が伸びており、種なしブドウに対する要求も大きい。ブドウ生産を維持・発展させるためには、より食味が優れる大粒ブドウの育成が必要である。特に、アメリカブドウに由来する塊状の肉質よりヨーロッパブドウに由来する崩壊性で硬い肉質に対する評価が高く、「巨峰」、「ピオーネ」はその中間の肉質である。そこで、肉質が崩壊性で硬く、大粒で種なし栽培できる品種の育成を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 1989年(平成元年)に果樹試験場安芸津支場(現 果樹研究所ブドウ・カキ研究部)において「ブドウ安芸津21号」(「スチューベン」×「マスカット・オブ・アレキサンドリア」)に「ルビー・オクヤマ」を交雑して育成した二倍体の系統である。
- 1999年(平成11年)から2003年(平成15年)まで系統番号「ブドウ安芸津24号」としてブドウ第9回系統適応性検定試験に供試して検討を続けた結果、2004年(平成16年)1月の同試験成績検討会において新品種候補として適当であるとの結論を得た。
- 「巨峰」よりやや遅く、「ネオ・マスカット」とほぼ同時期に成熟する紫赤色の大粒の二倍体ブドウである(表1、図1)。果粒重は10g程度である。肉質は崩壊性で硬く、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」に近い。糖度は高く19%程度になり、酸含量は低く、0.4g/100ml程度である。香りは無い。「巨峰」より少しはく皮しにくい。裂果性は「巨峰」と同様に無い。縮果病は発生しない。「巨峰」より脱粒しにくい。日持ち性は「巨峰」より長い。
- 樹勢の強い樹においても花振るい性は少なく、栽培容易である。一般に花房が小さく、花穂の整形に労力を要しない。また、適度に着粒し、摘粒が容易である。短梢剪定が可能である。
- ジベレリン25ppmを満開時と満開10~15日後に花(果)房浸漬処理することにより無核化栽培できる。無核化栽培すると有核栽培に比べ果粒重が1~2g程度増大する。開花前にストレプトマイシン200ppmを散布する、または1回目のジベレリン処理時にストレプトマイシン200ppmを加用することにより無核化が促進される。
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成果の活用面・留意点 |
- 有核栽培の場合、花穂の整形は花穂下部7cmを用いるのが良い。また、摘粒は9cmの穂軸に40粒程度とすると良い。
- 耐病性は「巨峰」より劣り、雨量の多い地方ではビニール被覆栽培がよい。
- ジベレリンを使用するためには農薬登録が必要であるが、現在のところ、登録されていない。今後、試験成績をとりまとめ、農薬メーカーに農薬登録を要請する予定である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
かき
新品種
農薬
品種
ぶどう
良食味
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