モモの有用果実形質に連鎖するDNAマーカー

タイトル モモの有用果実形質に連鎖するDNAマーカー
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所
研究期間 2002~2006
研究担当者 山口正己
山本俊哉
小野勇治
土師 岳
八重垣英明
林 建樹
発行年度 2003
要約 日本の栽培モモにおける重要な形質である果肉色(白色/黄色)、果実pH(高/低)及び核の粘離性(離核性/粘核性)について遺伝子地図上の位置を同定した。さらに連鎖するDNAマーカーにより各形質を選抜することが可能である。
キーワード モモ、果肉色、酸度、核の粘離性、DNAマーカー
背景・ねらい 本研究は、日本の果樹生産の半ばを占めるバラ科果樹のモデルとしての条件を備えたモモについて高密度連鎖地図を作成し、特定の重要な形質を早期に選抜するためのDNAマーカーの開発を目標としている。
信頼性の高いSSR(Simple Sequence Repeat、繰り返し塩基配列)マーカーを多数開発し、高密度の地図の作成や欧州の連鎖地図との統合により、遺伝形質等の情報を共有することが可能になっている。これらの情報を基に、日本の栽培モモで重要な形質である果肉色、果実pH及び核の粘離性の地図上の位置を同定することにより、連鎖するDNAマーカーの獲得が可能になる。
成果の内容・特徴
1.
「あかつき」x「黄金桃」のF1集団43個体では、果肉色(白色Y/黄色y)、果実pH(高D/低d)、核の粘離性(離核F/粘核f)について分離が見られ、それぞれ、白色の果肉、高pH、離核性が優性である。「あかつき」の遺伝子型はY/y、D/d、f/fであり、「黄金桃」の遺伝子型はy/y、D/d、F/fである。F1集団では、それぞれ期待される分離比1:1、3:1、1:1に適合する。
2.
果肉色の遺伝子座は、第1連鎖群の中央部分に存在する(図1)。果肉色と遺伝的距離4.5cMで連鎖するSSRマーカーMA036a、UDP96-005、遺伝的距離7.1cMで連鎖するSSRマーカーpchgms3が、選抜マーカーとして利用可能である。
3.
核の粘離性の遺伝子座は、第4連鎖群の下部に存在する(図2)。核の粘離性と遺伝的距離5.4cMで連鎖するSTSマーカーSCB05、遺伝的距離7.0cMで連鎖するSSRマーカーBPPCT035が存在する。複数のモモの核の粘離性の座がすべて第4連鎖群の下部に位置することから、モモの核の粘離性は、同一もしくは非常に近い場所にある遺伝子に支配されることがわかる。
4.
果実pHの遺伝子座は、第5連鎖群の上部に存在する。果実pHとSSRマーカーMA026aは、4.7cMの遺伝的距離で強く連鎖する。
成果の活用面・留意点 1.
果肉色、果実pH、核の粘離性に連鎖するDNAマーカーを用いて、これらの形質を早期に判別することが可能になる。
2.
果肉色、果実pH、核の粘離性がそれぞれ異なる連鎖群に位置付けられることから、3種類の形質を独立に選抜することができる。
図表1 213104-1.jpg
図表2 213104-2.jpg
カテゴリ DNAマーカー ばら もも

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