カンキツにおけるβ−クリプトキサンチン生成関連遺伝子の発現特性

タイトル カンキツにおけるβ−クリプトキサンチン生成関連遺伝子の発現特性
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 加藤雅也
松本 光
杉浦 実
生駒吉識
兵藤 宏(静岡大学)
矢野昌充
発行年度 2003
要約 ウンシュウミカンの砂じょうでは、オレンジよりも、β-カロテン(β-クリプトキサンチンの前駆物質)を生成する遺伝子群の発現が高く、β-カロテンにOH基を導入するβ-リングハイドロキシレースの遺伝子発現が低い。この条件下で、ウンシュウミカンは砂じょうにβ-クリプトキサンチンを集積する。
キーワード β-クリプトキサンチン、遺伝子発現、ウンシュウミカン、機能性
背景・ねらい
β-クリプトキサンチン(β-CRP)は、カロテノイドの一種で、ウンシュウミカンに多量(果肉中1mg/100g)に含まれ、ビタミンA効力を有するほか、動物実験の結果から、がん予防に有効であることが示唆されている。近年、健康指向が高まっている状況の中、このような機能性を有するβ-CRPを高含有するカンキツを開発することは、消費者の健康維持・増進に寄与するほか、カンキツ果実の付加価値の向上、消費拡大を図る上で極めて重要である。
このため、β-CRPの高含有化技術の開発に有用な情報を得る目的で、β-CRPを集積する遺伝子発現特性を解明する。
成果の内容・特徴
1.
砂じょうでは、成熟が進むにつれて、ウンシュウミカンでは主としてβ-CRPが、バレンシアオレンジでは主としてビオラキサンチン(VIO)が集積する(図1)。
2.
砂じょうのβ-CRPとVIOの比(β-CRP/VIO)は、ウンシュウミカンでは5.5~6.5に達したのに対して、バレンシアオレンジでは、0.2程度であり、カロテノイドの組成比の品種間差が著しく大きい(図2)。
3.
砂じょうでは、前駆物質であるβ-カロテンの生成に関与する遺伝子群の発現がウンシュウミカンで高いが、逆に、β-環水酸化酵素とゼアキサンチンエポキシ化酵素の遺伝子発現はバレンシアオレンジで高い(図3)。
4.
以上から、ウンシュウミカンの砂じょうでβ-CRPが高含有になる理由には、前駆物質生成遺伝子群とβ-環水酸化酵素遺伝子の間の発現バランスが関与しており、前駆物質生成遺伝子群の発現を高くし、β-環水酸化酵素遺伝子の発現を低く保つことがβ-CRPの高含有化には有効と考えられる。
成果の活用面・留意点 1.
「前駆物質生成遺伝子群の発現を高くし、β-リングハイドロキシレース遺伝子の発現を低く保つことがβ-CRPの高含有化には有効」とする本研究の成果は、β-CRP高含有化のための技術開発に重要な指針として活用できる。
図表1 213106-1.jpg
図表2 213106-2.jpg
図表3 213106-3.jpg
カテゴリ 温州みかん 機能性 消費拡大 品種 その他のかんきつ

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