タイトル |
良食味で果面がきれいな早生の青ナシ「なつしずく」(系統番号:ナシ筑波50号) |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 |
1990~2004 |
研究担当者 |
平林利郎
壽 和夫
齋藤寿広
阿部和幸
澤村 豊
佐藤義彦
寺井理治
正田守幸
高田教臣
西端豊英
栗原昭夫
佐藤明彦
樫村芳記
鈴木勝征
木原武士
小園照雄
福田博之
内田 誠
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発行年度 |
2004 |
要約 |
ニホンナシ新品種「なつしずく」(系統番号:ナシ筑波50号)*は、「平塚25号」に「筑水」を交雑して育成した早生の青ナシである。食味、果実肥大とも良好である。果面のさびが少なく、無袋栽培でも外観がきれいに仕上がるため省力化が期待できる。
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キーワード |
ナシ、無袋栽培、青ナシ、早生
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背景・ねらい |
現在、わが国のニホンナシ栽培における早生の品種構成は赤ナシ「幸水」に大きく偏っている。中生の「二十世紀」に代表される外観を美しく仕上げた青ナシは消費者の支持を得ているが、早生の普及品種は無い。そこで、耐病性・栽培性に優れ、食味の良い早生の青ナシ品種の育成を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 1990年(平成2年)に、果樹研究所育成系統「平塚25号」(「幸水」×「菊水」)に「筑水」を交雑して育成した品種である。個体番号は「323-17」で1991年(平成3年)に定植し、1998年(平成10年)に一次選抜した。1999年(平成11年)から「ナシ筑波50号」の系統名で、ナシ第7回系統適応性検定試験に供試し、2004年度(平成16年度)の新品種候補として適当であると結論が得られた。
- 樹勢はやや強く、枝梢の発生はやや少ない。腋花芽の着生はやや少なく、短果枝の着生は中である。開花期は「幸水」とほぼ同時期である(表1)。「筑水」と不和合であるが、「幸水」、「豊水」、「二十世紀」とは和合性である。収穫中央日の平均は8月上旬から中旬で「幸水」より1週間程度早い。若木の収量は「幸水」と比較するとやや劣っているが、「八里」より優れる。黒斑病には抵抗性で、黒星病その他の病害虫に対しては慣行防除で対応できる。
- 果形は扁円形で、完熟果の果皮色は黄緑色である(図1)。果実重は326gで「幸水」と同程度である(表1)。肉質は柔らかくち密で果汁も多い。果汁の糖度は11.8%で「幸水」と同程度に高い。果汁のpHは5.28と「幸水」と同様に食味上ほとんど酸味は感じられない。芯腐れの発生はほとんどみられないが、みつ症はまれに発生することがある。果実の日持ち性は25℃で1週間前後で「幸水」と同程度である。
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成果の活用面・留意点 |
- 全国のナシ栽培地帯で栽培が可能であり、「幸水」より1週間ほど早く成熟するため、青ナシの早期出荷が可能である。
- 無袋でも果面がきれいに仕上がるため、袋かけの不要な省力化が可能な品種である。
- 収穫後期にわずかながら落果が見られるため、収穫遅れの無いよう留意する。
- 花芽の着生を確保するため、適正な樹相に管理する必要がある。
*2005年9月16日付けでナシ筑波50号は「なつしずく」と命名され(なし農林23号)として登録・公表された。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
黒星病
栽培技術
出荷調整
省力化
新品種
抵抗性
品種
防除
良食味
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