タイトル |
渋皮剥皮性が優れ食味が優良な早生のクリ新品種「ぽろたん」 |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 |
1991~2005 |
研究担当者 |
平林利郎
壽 和夫
齋藤寿広
澤村 豊
寺井理治
正田守幸
阿部和幸
佐藤義彦
髙田教臣
佐藤明彦
西端豊英
樫村芳記
鈴木勝征
木原武士
内田誠
小園照雄
福田博之
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発行年度 |
2005 |
要約 |
クリ新品種候補「ぽろたん」は、「550-40」に「丹沢」を交雑して育成した。早生で、渋皮剥皮性が優れ、同時期に熟する「国見」に較べ肉質が粉質で比重も高く、食味が優良である。
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キーワード |
クリ、渋皮剥皮性、早生、良食味、新品種
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背景・ねらい |
ニホングリは一般にチュウゴクグリに比べ大果であるが渋皮剥皮性が劣るため、これまで剥皮性が良く大果なクリ品種の育成が強く求められてきた。また、クリの早生品種は「丹沢」、「国見」が中心であり、これらの品種より食味が優れる早生品種の育成が望まれている。そこで、剥皮性が優れ、早生の良食味品種の育成を図った。
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成果の内容・特徴 |
- 1991年(平成3年)に、果樹研究所育成の早生系統「550-40」(「290-5」(「森早生」×「改良豊多摩」)×「国見」)に「丹沢」を交雑した。1993年(平成5年)に定植し、1999年(平成11年)に一次選抜した。2000年(平成12年)から「ぽろたん」の系統名で、クリ第6回系統適応性検定試験に供試した。その結果、平成17年度落葉果樹系統適応性・特性検定試験成績検討会において新品種にふさわしいとの結論が得られた。
- 樹勢は中で、樹姿は直立である。収穫期は「丹沢」より10日程度遅く、「国見」とほぼ同時期である。ふた子果は「丹沢」、「国見」よりやや多いが裂果は少ない。虫害果の発生は「国見」とほぼ同程度である。樹齢6年生時(2005年)の健全果収量は3.3kg程度であり、「丹沢」より多く、「国見」と同程度である(表1)。
- 焼き栗にした場合の渋皮剥皮性は、チュウゴクグリ並みに優れる(表1)。
- 1果重は30gで「丹沢」より大きく、「国見」よりやや小さいが、早生品種としては大果である。果実の揃いは「丹沢」、「国見」よりやや劣るが、比重が高く、肉質はやや粉質、甘味や香気もやや感じられるため、「丹沢」や「国見」より食味は優れる(表1、図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 渋皮剥皮性が良好であるので、大果性と良剥皮性を生かした加工用途等、新たな需要の開拓が期待できる。
- モモノゴマダラノメイガ等による虫害果率には年次変動があるので、晩生品種との混植を避け、適期防除を行うことが望ましい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
加工
くり
栽培技術
新品種
品種
防除
良食味
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