黄肉で食味の優れたモモ新品種候補「つきあかり」(系統番号:モモ筑波121号)

タイトル 黄肉で食味の優れたモモ新品種候補「つきあかり」(系統番号:モモ筑波121号)
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 1991~2007
研究担当者 山口正己
土師 岳
八重垣英明
末貞佑子
三宅正則
西村幸一
京谷英壽
鈴木勝征
木原武士
内田 誠
福田博之
小園照雄
発行年度 2007
要約  モモ新品種候補「つきあかり」は、「まさひめ」×「あかつき」の交雑実生から選抜された系統である。「黄金桃」より2週間あまり早く収穫される中生の黄肉系統で、果皮は黄色、果肉は溶質で糖度が高く、酸味が少なく、食味は良好である。
キーワード モモ、新品種、黄肉、溶質、生食用
背景・ねらい
 モモの果肉色には白色と黄色があるが、わが国の生食用品種の多くは白肉であり、黄肉は缶詰用の印象が強く、生食に用いられることは少ない。しかし近年、消費者の品種多様化の要望が高まり、黄肉品種の栽培が増加し、「黄金桃」のように晩生品種の果実が市場にも流通するようになっている。そこで、成熟期が異なる黄肉品種のシリーズ化を図るため、食味・品質の優れた中生の黄肉新品種を育成する。
成果の内容・特徴 1.1991年(平成3年)春に、農林水産省果樹試験場(現 農研機構果樹研究所)千代田圃場において「まさひめ」に「あかつき」を交雑し、得られた種子を同年秋に播種した。苗圃で2年間養成した後、1994年(平成6年)2月に個体番号「248-6」を付して千代田圃場の育種圃に定植した。2001年(平成13年)より、「モモ筑波121号」の系統番号を付してモモ第8回系統適応性検定試験に供試し、平成19年度果樹系統適応性・特性検定試験成績検討会(落葉果樹)において新品種にふさわしいとの結論が得られた。
2.樹勢はやや強く、樹姿は開張と直立の中間である。枝の発生は多く、花芽の着生も良好である。花は単弁普通咲きで花粉を有し、結実は良好である。開花期は育成地で4月上旬であり、「あかつき」とほぼ同時期かやや遅く、「黄金桃」より2日早い。果実の収穫期は育成地で7月下旬から8月上旬であり、「黄金桃」より2週間あまり早く「あかつき」より1週間遅い(表1)。
3.果形は扁円形で、果実重は220g余り、果皮の地色は黄色で着色は少ない。果肉は黄色で溶質、肉質は「やや密」である。糖度は平均で14%程度であり、「あかつき」より約1%高く、「黄金桃」よりわずかに低い。酸味は「黄金桃」に較べて少なく、食味は安定して優れている。核は粘核である。黄肉モモ特有の香りがあり、品質は良好である(表1、図1、図2)。

成果の活用面・留意点
1.既存のモモ栽培地域で栽培が可能である。高品質品種として黄肉モモの拡大に有効である。
2.花芽が多く、結実も良好なので、摘蕾・摘果を適切に行い、果実肥大を促進する。果面の微細な亀裂が発生することがあるが、程度は軽く大きな問題とはならない。また、果肉のミツ症の発生も認められるため、適期収穫に努める。
3.せん孔細菌病、灰星病には罹病性であるが、通常の薬剤散布により被害を回避することができる。
図表1 213199-1.jpg
図表2 213199-2.jpg
図表3 213199-3.gif
カテゴリ 育種 栽培技術 新品種 せん孔細菌病 播種 品種 もも 薬剤 良食味

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