MYB様転写因子遺伝子はリンゴ果皮の着色に関与する

タイトル MYB様転写因子遺伝子はリンゴ果皮の着色に関与する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2003~2007
研究担当者 五十嵐 恵(青森グリーンバイオセンター)
初山慶道(青森グリーンバイオセンター)
森口卓哉
伴 雄介(筑波大)
別所英男
本多親子(機構本部)
発行年度 2007
要約  リンゴの成熟果の果皮で発現するMYB様転写因子遺伝子(MdMYBA )は、果皮の着色が誘導される低温等の条件下で発現量が増加する。これを過剰発現させたリンゴ子葉等では着色が誘導されることから、MdMYBA はリンゴの着色の鍵となる遺伝子の一つである。
キーワード リンゴ、アントシアニン、着色、MYB様転写因子
背景・ねらい
 リンゴ果実の赤い着色は、果実の商品価値を大きく左右する要因の一つである。この着色はアントシアニン色素によるものであり、果実発育後期の高温によりこの色素の合成が著しく阻害されることから、今後の気候温暖化により果実の着色不良が起こることが懸念されている。本研究では、リンゴにおけるアントシアニン生合成の制御機構の解析を進め、高温による果実着色不良の原因を分子レベルで明らかにし、着色改善技術の開発につなげることを目的とする。
成果の内容・特徴 1.MdMYBA はアントシアニンが集積する成熟果実の果皮で特異的に発現が認められ、その発現量は品種の着色能力とも相関がある(データ省略)。また、MdMYBA は、最もアントシアニン含有量が高くなる17℃+UV-Bの条件(図1-A)で発現レベルが高くなり、高温やUV-Bの無い条件では低くなる(図1-B)。
2.本遺伝子を一過的にリンゴの発芽直後の子葉で発現させると、アントシアニンの合成が導入部分で誘導されて赤いスポットが形成される。また、アグロバクテリウム法によりタバコに導入して過剰発現させると、花弁、花糸、子房等の生殖器官が野生型と比較して一層赤くなるのが観察される(図2)。
3.ゲルシフトアッセイを行うと、MdMYBAタンパク質はanthocyanidin synthase (ANS )のプロモーター領域に結合する(データ省略)。
4.以上のことから、MdMYBA はリンゴのANS 等のアントシアニン生合成系酵素遺伝子の発現制御を介して着色を誘導していると推察される。そして、高温条件下ではMdMYBA 遺伝子自身の発現が低下し、アントシアニン生合成系酵素遺伝子の発現誘導が低下することで、果実の着色不良に至ると考えられる。

成果の活用面・留意点
1.MdMYBA には少なくとも3つの対立遺伝子が存在することから、この対立遺伝子のゲノムの配列情報を利用することにより、果皮の赤くなる品種・系統を早期選抜するためのマーカー作成に役立つ可能性がある。
図表1 213212-1.jpg
図表2 213212-2.jpg
カテゴリ たばこ 品種 りんご

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