DNA分析によるビワ果肉色の判別法の開発

タイトル DNA分析によるビワ果肉色の判別法の開発
担当機関 長崎果樹試
研究期間 2000~2007
研究担当者 根角博久
山本俊哉(果樹研)
寺井理治
寺上伸吾(果樹研)
稗圃直史
富永由紀子
福田伸二
発行年度 2007
要約  ランダムプライマーOPH-01を用いたPCRにより増幅されるDNA断片はビワの果肉色と良く連鎖する。これをDNAマーカーとして利用することにより幼苗段階で交雑実生の果肉色を精度良く判別できる。
キーワード ビワ、DNAマーカー、果肉色
背景・ねらい  ビワは播種から初結実までに長い年月を要するが、果実形質と連鎖するDNAマーカーを用いて早期選抜することにより育種効率を飛躍的に向上させることができる。ビワ育種の重要形質の一つである果肉色は大別して、橙から淡橙黄の橙黄色タイプと黄白から白の黄白色タイプに分けられる。黄白色の品種は高糖度のものが多いが熟期の判別が難しいという問題点がある。そこで、高糖度でかつ果肉色が橙黄である品種を交雑育種により効率的に育成するため、ビワの果肉色と連鎖するDNAマーカーの開発を行う。
成果の内容・特徴
  1. 「麗月」×「天草極早生」のF1集団37個体の果肉色を調査した結果、橙黄色は17個体、黄白色は20個体である。果肉色が一遺伝子により支配され、橙黄色が黄白色に対して優性であるとする仮説に基づいてカイ二乗検定を行ったところ、「麗月」が劣性ホモ、「天草極早生」がヘテロでその後代は、橙黄色と黄白色が1:1に分離するという仮定は棄却されない(表1)。
  2. 280種類のプライマーを用いて、バルク法によりPCR分析を行った結果、587本の増幅バンドが得られ、そのうち28本のバンドが橙黄色・黄白色バルク間で多型を示す。それぞれの多型バンドについてバルク作製時の個体を用いて検定した結果、OPH-01プライマーの1800bpのバンド(OPH-01/1800)のみが果肉色と連鎖する(表2)。「麗月」×「天草極早生」のF1集団での果肉色とOPH-01/1800の組換え価は0.081である。
  3. 橙黄色タイプ品種のうち、「茂木」や「田中」等、25品種ではOPH-01/1800を検出できるが、「長崎早生」等の6品種では検出できない(表3)。供試した橙黄色タイプ品種におけるOPH-01/1800の出現頻度は81%である。また、供試した黄白色タイプ品種全てにおいて、OPH-01/1800は検出されず、このOPH-01/1800の黄白色タイプ品種における非出現頻度は100%である。    
成果の活用面・留意点
  1. 発芽直後の幼苗段階で果実形質の果肉色を推定することが可能となるため育種の効率化が図られる。
  2. 「シャンパン」、「室戸早生」、「長崎早生」、「長生早生」、「大房」および「涼峰」を交雑親に用いた後代の検定には利用できない。
図表1 213223-1.gif
図表2 213223-2.gif
図表3 213223-3.gif
カテゴリ 育種 DNAマーカー 播種 びわ 品種

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