タイトル |
春まき小麦のデオキシニバレノール(DON)汚染低減に向けた当面の総合的対策 |
担当機関 |
北海道立中央農業試験場 |
研究期間 |
1998~2002 |
研究担当者 |
相馬 潤
角野晶大
佐藤導謙
竹中秀行
清水基滋(十勝農試)
小澤 徹(十勝農試)
桃野 寛(十勝農試)
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発行年度 |
2002 |
要約 |
DON汚染低減のためには抵抗性品種の利用と早期播種が有効である。また、薬剤散布は開花始から1週間間隔での4回散布が有効である。粒厚選別、比重選別は製品中のDON汚染を低減する。
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キーワード |
春まき小麦、赤かび病、DON、抵抗性品種、早期播種、薬剤散布、比重選別
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背景・ねらい |
赤かび病菌が産生するマイコトキシンの一種であるDONの暫定基準値(1.1ppm)の設定に伴い、本病の発生が恒常的に多い春まき小麦における汚染低減対策が緊急に求められている。そこで、品種、栽培、薬剤防除および調製等について現時点で得られた結果を当面の対策として提供する。
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成果の内容・特徴 |
- 道央地帯の春まき小麦に発生する主要な赤かび病菌はFusarium graminearumとF. avenaceumである。このうち、DON産生能を有するのはF. graminearumである。
- 抵抗性"中"の「春よ恋」は"やや弱"の「ハルユタカ」に比較してDON汚染程度が低い(表1)。
- 初冬まき栽培は春まき栽培に比較して赤かび病発生程度ならびにDON汚染程度が低い(表1)。春まき栽培においても、早期播種により赤かび病の発生およびDON汚染を低減することができる。
- 薬剤防除については開花始から1週間間隔で4回散布あるいは5回散布によるDON汚染低減効果が高い(表2)。薬剤の使用時期の問題から5回目散布は困難である場合が想定されることから、DON汚染低減のためには開花始から1週間間隔での4回散布が適当と考えられる。
- クレソキシムメチル水和剤F、テブコナゾール水和剤F、プロピコナゾール乳剤、チオファネートメチル水和剤およびイミノクタジン酢酸塩液剤はDON汚染低減効果が認められる(表3)。
アゾキシストロビン水和剤FはDON汚染低減効果が認められなかった例が3例中2例あり、当面春まき小麦の赤かび病防除には使用しないことが適当である(表3)。 - 粒厚選別および比重選別により小麦製品中の赤かび粒率を減らし、DON汚染程度を低減することができる(図1)。
- DON汚染低減対策として以下の4点を総合的に用いることが必要である。a)品種「春よ恋」の利用、b)初冬まきを含めた可能な限りの早期播種、c)5.に挙げた薬剤による開花始から1週間間隔での4回散布、d)粒厚選別後の比重選。
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成果の活用面・留意点 |
- 春まき小麦のDON汚染低減に向けた当面の対策として利用する。
- 本対策は、試験事例が少ない中で現段階での知見を可能な限り集めたものであり、その機作等については未解明であるものが多い。なお、これらの対策をすべて行っても、発病状況等によってはDON濃度が暫定基準を上回る可能性がある。
- DONの自主検査は必須である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
小麦
抵抗性
抵抗性品種
播種
品種
防除
薬剤
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