タイトル |
乳牛における活動量の変化検出による発情発見システム |
担当機関 |
(株)土谷特殊農機 |
研究期間 |
1989~2004 |
研究担当者 |
吉田晴恒(土谷)
高橋圭二
出岡謙太郎
森田茂(酪農大)
草刈直仁
大滝忠利
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発行年度 |
2004 |
要約 |
乳牛の活動量の変化と発情行動ならびに排卵との時間的関係を調査することで、発情開始時刻と授精適期が提示可能なフリーストール牛舎における発情発見システムを開発した。本システムは、発情検出率ならびに発情発見精度が良好で、提示した授精適期での受胎率も高い。
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キーワード |
乳用牛、繁殖、発情発見、活動量、授精適期、受胎率
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背景・ねらい |
活動量の頻回収集法を検討するとともに、頻回収集した活動量と発情行動、排卵との時間的関係を調査し、発情開始時期と授精適期を特定できるシステムを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 活動量を頻回収集し、積算表示したところ、発情期には活動量増加の傾きが急激に増大した(図1)。活動量の増加開始とマウンティングはほぼ同時刻に開始し、スタンディングは活動量の増加から約3時間後に認められる(図2)。また、スタンディングの持続時間は2~18時間で、平均7.3時間と短い。
- 排卵は活動量増加開始から28.5時間後に起こる。従って、理論的な授精適期は、活動量増加開始から4~24時間となる(図2)。
- リピートブリーダーを除く乳牛について、活動量増加開始から授精までの時間を調査したところ、適期と考えられた活動量増加開始から4~24時間の受胎率は65.4%であり、それ以外の時間に授精された場合の15.8%に比べ高い(図3)。また、適期のうちでも、早い時期に授精した場合の受胎率が高い。
- 本システムは、活動量の頻回収集と発情判定解析プログラムから構成される(図4)。発情判定解析プログラムは、平常時の活動量との比較により、自動的に発情の検出、発情開始時刻の特定を行う。発情と判定された場合には、授精適期も表示して管理者へ知らせる。
- 発情の判定基準は、アンテナ設置数が3台の場合には、100回の通過データの平均値と比較して、直前10回の通過データの平均値が2倍以上となった場合に行動注意、2.5倍以上で発情と判定する。
- 本システムの発情検出率は91.4%、発情発見精度は83.5%と良好である(表1)。
以上のことから、本研究で開発した「活動量の頻回収集による発情発見システム」は、フリーストール牛舎における発情発見率と受胎率を向上させることができる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本システムの解析手法は、平常時の活動量として100~200回の平均値を用いる。平均値算出まで2週間程度必要なため、分娩後から計測装置を装着する必要がある。
- アンテナ数は牛舎内の横断通路分でよいが、餌槽側に牛床がある場合(頭あわせの2列牛床など)には、飲水器周辺にもアンテナを設置する必要がある。
- 発情判定基準の倍率は、アンテナ設置数や牛群・個体により変更が必要な場合がある。
- 本システムの発情検出率は高く、提示した授精適期での受胎率も高いが、発情と判定した牛の中には、実際には発情でない牛も含まれるため、目視による発情行動や外陰部・粘液の観察を併用することが望ましい。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「乳牛における活動量の変化検出による発情発見システム」(普及奨励)
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図表1 |
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カテゴリ |
乳牛
繁殖性改善
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