休耕田等を活用した湿地ビオトープの環境教育の場としての役割

タイトル 休耕田等を活用した湿地ビオトープの環境教育の場としての役割
担当機関 道立中央農試
研究期間 2000~2004
研究担当者 須田達也
竹内晴信
発行年度 2004
要約 休耕田等を活用した湿地ビオトープは、環境教育の場として自由な活動が可能であり、かつ生物多様性や生物生息の持続性を確保しやすい。このため環境教育への利活用が可能で、その潜在的ニーズも大きく、農村振興に活用できる。
キーワード 休耕田、湿地ビオトープ、環境教育
成果の活用面・留意点
  1. 多くの児童は農村地域への興味関心が高く、農村地域の様々なタイプの環境で生物を対象とした自由な活動を期待している(表1)。また、都市部の教員と環境教育団体職員は、農村地域へ興味関心を持ち、児童より湿地への興味関心が高く、生物を対象とした観察や研究活動を期待している。このことより、環境教育の場として、自由に活動できかつ生物が生息できる湿地ビオトープのニーズは潜在的に高いものと考えられる。
  2. 湿地ビオトープを自然環境型、中間型、新規創出型に分類した(図1)。いずれの場合も現状の湿地ビオトープの多くは、自由な出入りが限定されていた。新規創出型において、禁止行為が生じる背景の一つとして、生物生息の持続性が低下する懸念が挙げられる。
  3. 指標生物の生息環境から見て、農村部は都市部より、生息空間どうしのつながり(ビオトープのネットワーク)を確保しやすい(表2)。また、モデル試験地には指標生物のすべてが確認され、都市部の湿地ビオトープよりも、生物の多様性や生物生息の持続性を確保しやすいことが認められる。
  4. モデル試験地は「生物個体の発見や捕獲の容易さ」、「生物多様性の確認の容易さ」、「川や周辺の林地や農地との生態系的および活動的連続性」を有しており、そこでの環境学習後の児童は、環境教育の到達段階であるレベル1または2から、レベル2または3へ移行した(図2)。この結果と関係者による評価から、モデル試験地は環境教育の拠点や生物とのふれあいの場としての役割を持っている。
  5. 以上のことから、休耕田等を活用した湿地ビオトープは、自由な活動が可能でありかつ生物の多様性や生物生息の持続性を確保しやすいことから、ニーズに応えることが可能な環境教育の場としての役割を有している。

  1. 休耕田等の利活用に向け、農業者、地域住民、行政の参考となる。
  2. 都市農村交流推進や地域環境保全の手段として湿地ビオトープを活用・計画・運営する際や、農業体験学習等を受け入れる際の資料として活用できる。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「休耕田等を活用した湿地ビオトープの環境教育の場としての役割」(行政参考)
図表1 213527-1.jpg
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