タイトル |
転換畑での大豆生産を阻害する土壌物理性とその改善指標 |
担当機関 |
北海道立中央農業試験場 |
研究期間 |
2002~2004 |
研究担当者 |
竹内晴信
塚本康貴
北川巌
|
発行年度 |
2004 |
要約 |
転換畑大豆の出芽や生育収量に影響を及ぼす主な土壌物理性要因(クラスト硬度、砕土性、耕盤層及び現場透水性)を明らかにし、各々の改善指標値を示した。シリンダーインテークレート法による現場透水性は、測定が容易で土壌構造や孔隙の指標として有効である。
|
キーワード |
転換畑、ダイズ、クラスト硬度、砕土性、耕盤層、インテークレート
|
成果の活用面・留意点 |
- 大豆の出芽率を低下させ苗立ち本数の確保を阻害する土壌物理条件は、クラスト硬度10mm以上(4kgバネ使用)、砕土率80%未満、平均土塊径では1.5cm以上である(図1)。
- 土壌クラストは国際法粘土+シルト含量50%以上(農学会法粘土含量40%以上)の場合に生じやすいが、国際法粘土+シルト含量50%以上においても強熱減量13%以上、全炭素量6%以上であるとクラスト硬度は全て10mm以下となる。また腐植含量の多い土壌ほど塑性限界が高くなり、砕土可能な水分領域が広がる。これらのことから苗立ち本数の確保のためには、粗大有機物を含めた土壌中の有機物含量を高めることが必要である。
- 耕盤層の存在により乾物重などの生育量や根粒重、窒素吸収量が減少し、大豆の生育を阻害する(表1)。またシリンダーインテークレート法によるIbが100mm/h未満のほ場では、個体あたりの子実重低下により収量は300kg/10a未満となる(図2)。これらのことから、苗立ち以降の大豆生育を阻害する土壌物理条件は、耕盤層の存在、およびシリンダーインテークレート法によるIbが100mm/h未満、である。
- 現地ほ場の土壌断面形態および土壌物理性のデータによる解析の結果、Ibは孔隙や亀裂などの土壌構造の発達程度による影響を強く受けることから、苗立ち以降の大豆生育を低下させる要因は、土壌構造が未発達で亀裂や孔隙の少ない土壌環境である。
- 以上をふまえ、シリンダーインテークレート法を転換大豆畑における土壌物理性の評価手法とし、望ましい土壌物理性改善指標値および改善策を示す(表2)。
- シリンダーインテークレート法の測定については前作収穫後(秋起こし前)あるいは春耕起前に行い、降雨直後は避ける。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名及び区分 「転換畑における土壌物理性に起因した大豆生産阻害要因の解明と改善指標」(普及推進)
|
図表1 |
 |
カテゴリ |
大豆
土壌環境
|