タイトル |
道内産発酵鶏糞の特性と水稲に対する施用効果 |
担当機関 |
上川農試 |
研究期間 |
2002~2004 |
研究担当者 |
後藤英次
佐々木亮
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発行年度 |
2004 |
要約 |
総窒素施肥量に占める発酵鶏糞由来窒素の割合を30%以下とした場合、発酵鶏糞の施用による土壌や水稲の生育、収量、および産米品質のいずれにおいても化学肥料による栽培と同等である。発酵鶏糞の化学肥料窒素代替率限界は30%である。
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キーワード |
イネ、鶏糞、有機質資材
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背景・ねらい |
発酵鶏糞は養鶏由来の有機性廃棄物の活用法として、近年生産量が増加している。そのため、発酵鶏糞の利用を促進するため、水稲栽培への導入が期待される。そこで本試験では発酵鶏糞の資材特性を明らかにし、発酵鶏糞の適切な施用量・施用法を検討する。 (発酵鶏糞由来施肥窒素15%区を15%区、同様に30%区、50%区、100%区と略した)
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成果の内容・特徴 |
- 調査した発酵鶏糞の成分含有率の平均値は窒素3.6%、リン酸6.5%、加里3.9%であり、水分は平均17.4%である。また、発酵鶏糞の窒素無機化率の平均値は1週間で25.8%、2週間で30.2%である(表1)。
- 栽培試験の結果、土壌Ehや幼穂形成期のアンモニア態窒素濃度は、15%区、30%区において対照区とほぼ同等であるが、50%区では低下する。一方、7月30日のアンモニア態窒素濃度は発酵鶏糞を施用したいずれの区でも対照区を上回る(図1)。
- 発酵鶏糞由来窒素の割合が30%の時、跡地土壌の化学性は化学肥料による栽培とほぼ同等であり、3ヵ年の連用では土壌の化学性に悪影響はない。
- 茎数増加の推移を見ると50%区、100%区は初期生育が劣り、後出来の生育となる。発酵鶏糞由来窒素の割合が30%以下であれば、対照区とほぼ同等程度の生育が得られる。
- 収量構成要素を見ると、m2あたりの籾数は発酵鶏糞の割合が高まるにつれ減少する反面、千粒重や登熟歩合は増加する傾向である(表2)。その結果、3ヵ年の平均収量は対照区(518kg/10a)≧30%区(512kg/10a)≧15%区(507kg/10a)>50%区(494kg/10a)>100%区(369kg/10a)である。
- タンパク質含有率や玄米白度、良質粒歩合などの産米品質は発酵鶏糞由来窒素の割合が30%以下の範囲では、対照区とほぼ同等であると考えられる(図2)。
- 以上から、総施肥窒素量に占める発酵鶏糞由来窒素の割合を30%以下とする場合、発酵鶏糞の施用は土壌や水稲の生育、収量、および産米品質のいずれにおいても化学肥料による栽培と同等と判断できる。発酵鶏糞の化学肥料窒素代替率限界は30%である。
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成果の活用面・留意点 |
- 上川中央部の初期生育良地帯及びこれに準ずる地域に適用できる。
- 成績は窒素含有率2.5%(乾物あたり)以上、C/N比7以下の発酵鶏糞に適用できる。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「道内産発酵鶏糞の特性と水稲に対する施用効果」(指導参考)
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図表1 |
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カテゴリ |
土づくり
肥料
水稲
施肥
鶏
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