小麦粉中のポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性の簡易評価法

タイトル 小麦粉中のポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性の簡易評価法
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2001~2005
研究担当者 伊藤美環子
西尾善太
田引正
高田兼則
発行年度 2005
要約 培養試験管、L-DOPA試薬及び色彩色差計を用いることにより、小麦粉中のポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性を簡易に評価することができる。
キーワード 小麦粉、PPO活性、簡易評価法、L-DOPA
背景・ねらい
ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性は様々な食品の変色に関与していることが知られており、小麦粉製品に関しても、日本めんや中華めんの変色に関与していることが報告されている。PPO活性の測定法としては、酸素電極を用いる方法や、一定時間酵素を反応させ、吸光度の変化を測定する方法があるが、いずれも、多数の材料を迅速に測定するのは困難である。そこで、めん色の変化の少ない系統の選抜に利用するためのPPO活性の簡易評価法を開発する。
成果の内容・特徴 1.ビューラー式製粉機で得られた60%粉中のPPO活性は灰分や蛋白含量に比べ、中華めん生地の明るさ及び赤みの変化量との相関が高く、PPO活性が高いほど変化量が大きい(表1)。
2.全粒粉のPPO活性の簡易測定法としてL-DOPA(3,4-Dihydroxy-L-phenylalanine)法(Anderson and Morris,2001)があるが、60%粉のPPO活性と中華めん生地色の変化量との相関係数は全粒粉より高く、特に赤みとの相関が高い(表2)。
3.小麦粉中のPPO活性の簡易評価は以下の手順で行う。平底の培養試験管(直径約2.5cm)に60%粉0.2gを入れ、L-DOPA法と同様の試薬を調製し(10mM L-DOPA、50mM MOPSをNaClでpH6.5に調製)、4ml加える。1時間振とう後、室温に放置し、18時間後に色彩色差計(Minolta CM-3500d、測定径 0.8mm)を用い、試験管底面のL*を測定する(図1)。
4.簡易評価法によるL*値と酸素電極を用いたPPO活性の実測値との間には高い相関関係が認められる(r=-0.94***)(図2)。従って、この手法により、PPO活性を評価できる。
成果の活用面・留意点
1.小麦の育種場面で、PPO活性の簡易評価に活用できる。
2.2.L-DOPA及びMOPSは有毒なので、取り扱い及び廃液処理に注意し、反応中はドラフト内に置くのが望ましい。
3.試験を行う前に、使用する培養試験管に4mlの蒸留水を入れた状態で測色し、他の試験管と比べて極端に値が異なるものは除外する。
図表1 213609-1.jpg
図表2 213609-2.jpg
図表3 213609-3.jpg
カテゴリ 育種 簡易測定 小麦 評価法

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