タイトル |
小規模工房原料乳がカード特性に及ぼす影響 |
担当機関 |
北海道立根釧農業試験場 |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
西村和行
本郷泰久
昆野大次
高橋雅信
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発行年度 |
2005 |
要約 |
農場バルク乳の乳タンパク質率の変動幅は依然として大きい。乳タンパク質率3.40%まではカード凝固硬が増加する。カード凝固硬は殺菌条件「63℃30分」と「75℃15秒」で差はないが、昇温時間が長いほど低下する。電気伝導度の変化値は発酵指標となる。チーズの香り識別装置応答値、硬さ、粘りに工房特有の特徴がある。
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キーワード |
カード物性、熱ストレス、電気伝導度、乳酸発酵、チーズ製品管理
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背景・ねらい |
小規模チーズ工房は原料乳や施設的制約があり、大規模施設の品質管理技術を直接適用出来ない。また、原料乳の特徴を生かした製品作りが望まれている。そこで、少量試料を用いたカード物性評価手法を確立し、小規模工房特有の原料乳がカード凝固に与える影響を解析する。また、電気伝導度による乳酸発酵モニタリング法および理化学指標によるチーズ製品管理の可能性を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 農場バルク乳の乳タンパク質率は向上しているが、季節変動と農場間格差が大きい。
- 近赤外線透過割合を利用した凝固時間等を測定する乳凝固特性解析装置(オプティグラフ:Ysebart社)でカード凝固解析が可能で、また、同装置によるレンネット投入後凝固開始時間の2または3倍時間をカードのカッティング適期とみなし、カード凝固硬測定時期を標準化できる。すなわち、乳凝固開始時間が把握されるため、その後のカッティング適時を判断・設定することが出来る。
- 乳タンパク質率の上昇に伴ってカッティング適期のカード凝固硬が増加したが、3.40%を越えるとカード凝固硬の増加傾向は不明瞭となった(図1)。また、体細胞数が30万個/mlを越えるとカード凝固硬が低下した。
- 殺菌条件が「63℃30分」あるいは「75℃15秒」のいずれでも、カード凝固硬に差はない。しかし、殺菌温度までの昇温時間が長いほどカード凝固硬は低下する(図2)。
- 電気伝導度を利用して乳およびホエーの乳酸発酵状態をモニタリングできる。しかし、変化量が小さいので、測定液温を一定に調整した正確な測定が必要である(図3)。
- 物理的特性はチーズタイプごとの硬さ・熟度の指標となる可能性があり、工房内の製品管理の手段として利用できることが示唆された(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 小規模工房における原料乳の製品管理、殺菌施設の管理・改良に利用できる。
- カード凝固特性評価手法は原料乳のチーズ加工特性評価のほか、スタータを含めた製造技術の開発改良に利用できる。
- 硬さや粘りなど物理的特性およびにおいセンサーによる香り特性の評価手法は製造・熟成技術の改良開発時におけるチーズ品質評価に利用できる。また、小規模工房内の製品管理として利用できる。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 小規模工房における原料乳がカード特性に及ぼす影響 (普及・参考)
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
加工特性
管理技術
季節変動
モニタリング
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