牛胚性判別キットを用いたフリーマーチンの迅速診断

タイトル 牛胚性判別キットを用いたフリーマーチンの迅速診断
担当機関 道立畜試
研究期間 2005~2005
研究担当者 遠谷良樹
森安 悟
扇 勉
南橋 昭
平山博樹
発行年度 2006
要約 LAMP法によるウシ胚性判別試薬キットを活用して血中性染色体キメラを検出する方法を示す。本方法により、血液を試料として約1時間で性染色体キメラに基づくフリーマーチンの判定が可能である。
キーワード LAMP、DNA増幅、フリーマーチン、性染色体キメラ
背景・ねらい  ウシ異性双子由来の雌子牛の多くは、血液キメラとなり繁殖能力のないフリーマーチンとして肉用に処理される。しかし、なかには正常な繁殖性を持つ個体もおり、特に乳用種で価値の高い正常雌子牛を判定せずに肉用処分することは、酪農生産において大きな経済的損失になる。
 近年、フリーマーチンはPCR法により血液からY染色体特異的DNA配列を検出する性染色体キメラ検査で診断されているが、DNAの精製や電気泳動が必要なため煩雑で時間がかかる。我々は、LAMP法により63℃の等温下で迅速に雄特異的DNAを検出する市販ウシ胚性判別試薬キットを開発した。本試験では、このキットを活用し、LAMP法で血中性染色体キメラ検出し迅速にフリーマーチンを判定する方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 血液最終希釈倍率が10~500倍では、加温後に濁度が0.2を越えて上昇し、血液添加による濁度測定への影響がみられたが、1000倍では、加温前後ともに濁度の上昇は認められなかった(図1)。これより血液を最終1000倍で希釈し、濁度が0.2を越えた場合に雄特異的DNAが増幅された陽性反応と判定する。
  2. 血液は、NaOHによる簡易DNA抽出後に試料として用いることができ、10~0.01%のXY白血球を含むすべての血液で雄特異的DNAを検出できる(図2)。判定に要する時間は血液の処理を含め約1時間であり、従来の染色体検査(3-4日)あるいはPCR法(4-5時間)に比較して短縮できる(フロー1)。
  3. 異性双子由来の雌子牛から採取した血液のLAMP法によるキメラ検査結果は、すべて染色体検査およびPCR検査の結果と一致する(表1)。LAMP法で正常と判定された4例は発情行動を示し、3例はこれまでに受胎あるいは分娩したことから正常な繁殖能力を持つと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. Loopamp牛胚性判別試薬キット(栄研化学㈱製)を用いる。
  2. 血液キメラ検査に基づく簡易フリーマーチン判定法として利用する。
  3. 陰性対照としてDNA合成酵素を含まない反応を実施し、血液添加による非特異的な濁度の上昇がないことを確認する。
  4. 血液添加による非特異的な濁度の上昇がある場合は、市販のキットなどを用いてDNAの精製処理を行なった後、検査を実施する。
図表1 213716-1.jpg
図表2 213716-2.jpg
図表3 213716-3.jpg
図表4 213716-4.jpg
カテゴリ 乳牛 繁殖性改善

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