四季成り性いちごの高設・夏秋どり栽培における生物農薬の利用法

タイトル 四季成り性いちごの高設・夏秋どり栽培における生物農薬の利用法
担当機関 上川農試
研究期間 2003~2006
研究担当者 水越亨
東岱孝司
齊藤美樹
発行年度 2006
要約 四季成り性いちごの高設・夏秋どり栽培では、病害虫の発生実態から、灰色かび病に対してバチルス ズブチリス水和剤を、ハダニ類に対してミヤコカブリダニ剤をそれぞれ導入することにより、生物農薬を利用した防除が可能である。
キーワード 四季成り性いちご、灰色かび病、バチルス ズブチリス、ハダニ類、ミヤコカブリダニ
背景・ねらい これまで未検討であった四季成り性いちごの高設・夏秋どり栽培における病害虫発生実態を明らかにし、各種生物農薬の効果を検討して利用技術を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 問題となる病害虫の発生は、灰色かび病(育苗中は地際部、定植後は主に果実に発生。前半収穫期は少発生で推移し、後半収穫期に発生拡大)、うどんこ病(前半収穫期以降、葉・果実の順に発生)、ヒラズハナアザミウマ(越冬成虫の誘殺初めは5月中旬頃、ピークは7月以降。誘殺数は寄生虫数の推移とほぼ一致)、ナミハダニ(6月初旬より発生。苗の管理状態によっては発生時期が早まる)である。
  2. バチルス ズブチリス水和剤(「ボトキラー水和剤」あるいは「インプレッション水和剤」)単独の散布体系および後半収穫期における導入は、灰色かび病に対して効果が低い。しかし、前半収穫期において、開花盛期および灰色かび病の初発直後に化学殺菌剤を散布し、その翌週からバチルス ズブチリス水和剤を1週間間隔で連続散布する体系防除の効果は、「インプレッション水和剤」で化学殺菌剤体系と同等、「ボトキラー水和剤」ではやや劣~劣る。なお、「インプレッション水和剤」はうどんこ病に対して効果があるが、果実の汚れが目立つ事例がある(表1、2 )。
  3. アザミウマ類に対し有効な天敵農薬はククメリスカブリダニ剤の4回放飼であったが、コスト面から導入は不可能である。 ハダニ類に対し初発確認直後にミヤコカブリダニを2回放飼すると、無放飼区と比較してハダニ類の密度を低く抑え、殺ダニ剤の散布回数を削減できる(図1)。
  4. 生物農薬を利用した防除体系は以下のようになる(図2)。
    (1)育苗期:托葉の褐変部分を適宜除去することを基本に通常薬剤散布は不要である。灰色かび病が多発した場合、発病部位の除去に加え、薬剤散布の実施が効果的である。
    (2)前半収穫期:開花期および灰色かび病の初発直後に化学殺菌剤を散布し、翌週からバチルス ズブチリス水和剤を7日間隔で連続散布する。病害抑制が困難と考えられる場合、化学殺菌剤に切り替える。
    (3)後半収穫期:中休み期間から化学殺菌剤による体系防除を実施する。
    (4)ハダニ類に対してはミヤコカブリダニを開花始めに発注し、5月下旬から遅くとも6月上旬までに初回放飼、計2~3回放飼する。局所的にハダニ類の密度が高まった場合は殺ダニ剤をスポット散布する。
    (5)天敵放飼中にアザミウマ類の防除を行う場合には、天敵に影響が少なく防除効果の認められるスピノサド水和剤DFおよびアセタミプリド水溶剤を用いる。
  1. 本成績は、四季成り性いちごの高設・夏秋どり栽培における生物農薬利用上の参考とする。
成果の活用面・留意点
  1. 本成績は、四季成り性いちごの高設・夏秋どり栽培における生物農薬利用上の参考とする。
  2. 生物農薬の基本的な取り扱い方および留意点は、開発メーカーのマニュアルを参考とする。
図表1 213768-1.jpg
図表2 213768-2.jpg
図表3 213768-3.jpg
図表4 213768-4.jpg
カテゴリ 病害虫 育苗 いちご うどんこ病 害虫 コスト 栽培技術 農薬 ヒラズハナアザミウマ 防除 薬剤

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