放牧生産乳を原料とするチーズの特性と試験販売での評価

タイトル 放牧生産乳を原料とするチーズの特性と試験販売での評価
担当機関 北海道農業経営研究チーム
研究期間 2003~2007
研究担当者 松村哲夫
上田靖子
若林勝史
朝隈貞樹
秋山典昭
篠田 満
発行年度 2007
要約
    放牧飼養された乳牛から生産された乳を原料とするナチュラルチーズ(白カビ熟成タイプ)は、色、香り、柔らかさで一般牛乳を原料とするものと差別化でき、特徴ある商品開発を目指す小規模工房にとって、魅力ある商品開発の素材として期待できる。
キーワード
    放牧、乳、乳製品、ナチュラルチーズ、小規模乳製品工房
背景・ねらい
    放牧生産乳から製造したナチュラルチーズの特性を明らかにし、その評価を得ることで、小規模工房および農家工房で製造への要望の高い、地域の特徴ある乳製品製造の機会を広げることを目指す。
成果の内容・特徴
  1. 放牧飼養体系(6月中旬の放牧草の推定乾物採食量約14kg程度)で生産された乳(以下放牧生産乳)を原料とするナチュラルチーズ(白カビ熟成タイプ、写真)は、黄色が濃く、香りに関連する成分の量、テクスチャの柔らかさに特徴がある(表1)。
  2. 放牧生産乳を原料としたチーズは、放牧の特徴を示すと考えられる色(b*値)と、放牧生産乳のチーズの香気に関連すると考えられる成分であるphyt-1-eneの数値が、5月初旬の放牧開始から10日後頃から上昇する。また、秋期は放牧終了直前の10月末頃から低下する。(図1)。
  3. 官能評価試験では、外観、香り、食感の各項目について、放牧生産乳を原料とするチーズと放牧なしで生産された乳を原料とするチーズの差違が90%を超える高い割合で認識され、両者の差別化は可能である。(表2)。
  4. 販売試験(2007年販売個数合計:約2400個)を行った小規模工房の聞き取り調査の結果では、①季節感をアピールできること、②製法・施設を変えずにアイテムを増やせること、③プレミアム感があり他の商品よりリピート客やみやげ物用需要が多いこと等の、販売促進および企業イメージの向上につながる多くのメリットを感じており、放牧生産乳を原料とするチーズは、高付加価値商品としての活用が期待できる。
成果の活用面・留意点
  1. 地域の小規模乳製品製造工房および農家工房などで、放牧生産乳を原料とする乳製品を製造・販売する際の基礎情報として活用できる。
  2. 本成果は、北海道十勝地域で得られた結果に基づいている。放牧生産乳およびその乳製品の特性は、各地域、各酪農家で異なるものと考えられる。
  3. 放牧生産乳を用いて製品を製造するためには、原料乳生産農家、乳集出荷関係団体などとの連携と調整が必要である。
図表1 213875-1.jpg
図表2 213875-2.jpg
図表3 213875-3.jpg
図表4 213875-4.jpg
カテゴリ 高付加価値 出荷調整 乳牛

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