タイトル |
簡易更新・初冬季播種により傾斜草地も省力的に植生回復 |
担当機関 |
(財)北海道農業開発公社 |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
伊藤憲治
中村 克己
山川政明
大原 益博
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発行年度 |
2007 |
要約 |
簡易草地更新法と初冬季播種を組み合わせた技術の開発・導入により、傾斜草地において融雪水を活用した干ばつ回避と不耕起による表土流亡防止を図りつつ安定した植生改善効果と低コスト化(完全法対比72.2%~81.1%)や施工期間の拡大(2~4週間)ができる。
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キーワード |
簡易草地更新、初冬季播種、傾斜草地、低温出芽性、表土流亡、チモシー
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背景・ねらい |
傾斜地等条件不良草地の生産性回復のため、初冬季播種法を簡易草地更新法に適用して更新可能期間の拡大と施工所用時間の短縮及び低コスト化、表土流亡防止を図りつつ融雪水による干ばつ回避と植生改善を可能にする技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 4日で1℃ずつ低下する温度条件において、チモシーは日平均温度6℃以下で播種すると越冬前出芽を回避出来(図1)、一時的昇温については、日平均気温7℃で3日間続くと越冬前に半数程度の種子が出芽する危険がある。
- 十勝管内各地のアメダス気温データによると初冬季の日平均気温は約4日で1℃ずつ低下する。一時的な気温上昇の出現の終息時期には地域毎に一定の傾向がみられることから、前記1)の低温出芽性を基に、越冬前出芽を回避して安定的に早春の出芽・定着が見込まれる「初冬季播種適期」を町村毎に設定した(表1)。この事は、播種期間の2~4週間の拡大を意味する。
- 簡易更新・初冬季播種による現地実証試験は、1試験地を除き1番草で概ね75%以上のチモシー率が得られ、かつ乾物収量も通常の完全法における更新当年1番草と同程度であることから(表2)、「初冬季播種適期」の有効性が認められる。
- 以上の知見をもとに、傾斜地等の条件不良草地に対する各種工法の適用場面と効果を相対的に整理して示す(表3)。
- 試算によるヘクタールあたりの施工時間は、完全更新の12.39時間に対して簡易更新では4.27時間(34.5%)~6.85時間(55.3%)である。また総工事費は、完全更新の426,419円に対して308,065円(72.2%)~346,014円(81.1%)である。なお、工法に関係なく必要な資材費等を除いた機械費分で比較すると、完全更新(112,149円)に比べて簡易更新は38.9%~60.1%である。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成績は、道東、道北地域の傾斜草地および平坦草地の草地更新時に活用できる。
- 施工予定草地は、工法や土壌改良資材投入量および心土破砕等の物理性改善の要否を決めるために事前調査(植生診断、土壌診断)を行う。
- 播種量は、地域の完全更新時の標準的な播種量と同程度とする。
- 雑草の発生が多くチモシーの生育が抑制される恐れがある場合は、適宜の掃除刈りを行う。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「簡易耕・初冬季播種による傾斜地等条件不良草地の植生改善技術」(指導参考事項)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
傾斜地
雑草
低コスト
土壌改良
土壌診断
播種
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