タイトル |
しょうゆ油は乳牛用飼料として利用できる |
担当機関 |
道立根釧農試 |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
昆野大次
高橋雅信
大坂郁夫
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発行年度 |
2008 |
要約 |
乳牛におけるしょうゆ油の粗脂肪消化率とTDN含量は95.4、214.1%と大豆油と差がなく、乳牛用飼料として利用できる。しょうゆ油を600g/日給与すると乳脂率の低下が著しく、乳牛へのしょうゆ油の給与量は400g/日を上限とする。
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キーワード |
しょうゆ油、ルーメン内発酵、乳脂肪率
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背景・ねらい |
乳牛向け油脂飼料としては大豆油が利用されているが、食用資源との競合もあり、未利用資源の活用が望まれている。丸大豆しょうゆ醸造時の副産物であるしょうゆ油は燃料として再利用されているが、大豆油の代替と乳牛向け飼料としての利用については検討されていない。そこで、本課題はしょうゆ油給与が乳牛の第一胃液性状や繊維消化率に及ぼす影響を検討し、しょうゆ油の飼料特性および限界給与量を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 粗濃比75:25の混合飼料(TMR)を不断給餌した泌乳牛では、しょうゆ油を第一胃内に1000g/日投与しても、乾物摂取量(DMI)、総揮発性脂肪酸(VFA)濃度および乳量に大きな変化はなく、酢酸/プロピオン酸比(A/P比)も3.5以上で推移する。
- 粗濃比50:50のTMR を不断給餌した泌乳牛では、しょうゆ油を0、200、400、600g/日投与すると、投与量が増加するにつれ、DMIが低下する傾向にある(p=0.11)(表1)。第一胃内の総VFA濃度とA/P比に対するしょうゆ油投与量の影響は小さい(図1)ものの、乳脂肪率はしょうゆ油投与量が多いほど低下する傾向にあり(p=0.09)、600g/日では著しく低下する(表1)。
- しょうゆ油または大豆油をアルファルファミールに吸着させ、給餌TMR にトップドレスで泌乳牛に油脂400g/日相当量を摂取させると、油脂添加によって乳タンパク質率が低下するものの、摂取量、乳量および乳タンパク質率以外の乳成分は無添加区と変わらない。また、油脂源による差は認められない(表2)。
- しょうゆ油の粗脂肪消化率とTDN含量はそれぞれ95.4%、214.1%と高く、大豆油や植物性油脂と同程度である(表3)。
- しょうゆ油の給与は、大豆油と同様に乳脂肪中のトランスバクセン酸と共役リノール酸(c9t11CLA)割合と生乳中のc9t11CLA含量を有意に高める(p0.01)(表1、2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 乳牛へしょうゆ油を給与する際の有効な技術情報である。
- 本成果は牧草サイレージ主体飼養時のデータである。
- しょうゆ油を給与する場合でも、飼料全体の粗脂肪含有率は6%DM程度を上限とする。
- 大豆油と同様、しょうゆ油を多量に用いると、乾物摂取量と乳蛋白質率が低下する可能性がある。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「しょうゆ油の飼料特性と泌乳牛への給与水準」(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
アルファルファ
大豆
乳牛
未利用資源
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