牛XY分取精子を用いた雌受精卵の生産技術向上

タイトル 牛XY分取精子を用いた雌受精卵の生産技術向上
担当機関 道立畜試
研究期間 2006~2008
研究担当者 平山博樹
森安 悟
南橋 昭
陰山聡一
澤井健
川本 哲
尾上貞雄
杉本昌仁
山本裕介
早川宏之((社)ジェネティクス北海道)
発行年度 2008
要約 クエン酸緩衝液は分取精子の凍結融解後の運動性を改善し、精子活性化法の適切な選択でX分取精子による体外受精卵の生産効率を向上できる。また、X分取精子により雌体内受精卵が生産できることから、雌牛の生産効率を向上できる可能性がある。
キーワード 分取精子、雌雄産み分け、緩衝液、体外受精卵、体内受精卵
背景・ねらい
    X精子とY精子のDNA含量の差を利用し、フローサイトメータ(FCM)によりXY精子を分取する方法は、人工授精現場段階で利用できる牛の雌雄産み分け技術として期待されている。現在、FCMによる精子の分取精度は90%程度まで向上しており、人工授精による子牛の生産に利用されている。
    道立畜試では、分取の正確性と分取精子が実際に雌雄産み分けに活用できることを確認しているが、分取効率の改善技術や効率的な乳用雌牛の生産システムは確立されていない。生産量の少ない分取精子をより有効活用するためには、分取精子を用いた受精卵を生産し効率的に産子を得る方法が重要となる。本試験では、乳用雌牛の効率的生産システムの確立を目指し、分取精子の凍結用希釈緩衝液とX分取精子を用いた雌受精卵生産方法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. クエン酸緩衝液で希釈後に凍結した非分取精子は融解後の運動性が高く、分取精子でもクエン酸緩衝液で希釈後に凍結した場合に頭部振り回数と精子直進性が向上する(表1)。体外受精では、分取精子による分割率および発生率が低下するが、クエン酸緩衝液で希釈後に凍結した分取精子は分割率の低下が少ない傾向を示す。
  2. 非分取精子では、精子活性化試薬としてテオフィリンを用いた場合に体外受精の発生率が向上し、体外受精卵の生産効率が向上する(表2)。X分取精子では、分取操作によって受精率が低下しない場合はテオフィリン、受精率が低下した場合はカフェインを用いた場合に発生率が高い傾向を示す(表3)。
  3. X分取精子は、非分取精子を用いた場合と変わらずホルスタイン種未経産牛から移植可能体内受精卵を回収できる(表4)。

成果の活用面・留意点
  1. 本成績は、精子の供給元が凍結XY分取精子の性状を改善するための参考となる。
  2. 本成績は、XY分取精子を用いた体外受精卵の作製に利用できるが、品種、個体および採精ロットなどによって精子の運動性や受精率が異なることに留意する。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「牛XY分取精子を用いた雌受精卵の生産技術」(研究参考)
図表1 214014-1.jpg
図表2 214014-2.jpg
図表3 214014-3.jpg
図表4 214014-4.jpg
カテゴリ 品種

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