| タイトル |
コムギのフルクタン合成酵素遺伝子の導入によるイネ幼苗の耐冷性の強化 |
| 担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
| 研究期間 |
2005~2007 |
| 研究担当者 |
吉田みどり
佐藤裕
川上顕
|
| 発行年度 |
2008 |
| 要約 |
コムギのフルクタン合成酵素遺伝子を導入したイネ形質転換系統では、本来イネでは合成されないフルクタンが蓄積する。フルクタン蓄積イネ形質転換系統の幼苗の耐冷性は、フルクタン蓄積量が多い1-SST遺伝子導入系統で高い。
|
| キーワード |
イネ幼苗、コムギのフルクタン合成酵素遺伝子、形質転換、耐冷性
|
| 背景・ねらい |
フルクタンは一部の植物のデンプンに代わる光合成同化産物の蓄積オリゴ糖および多糖であり、スクロースから合成され液胞に蓄積される。水との親和性が高く、適合溶質として植物の乾燥耐性や耐凍性などに関わることが知られている。我々は、これまでコムギや寒地型牧草などの冬作物の耐凍性や雪腐病抵抗性に対するフルクタンの役割を明らかにしている。一方、夏作物のイネにおいても、低温ストレス下では水ストレスが加わることから、浸透圧調節能がイネの耐冷性の重要な要因の一つと考えられており、適合溶質の役割が注目されている。そこで、本来イネでは合成されないフルクタンを合成できるようにコムギのフルクタン合成酵素遺伝子を導入したイネ形質転換系統を作出し、フルクタンのイネ幼苗の耐冷性に対する効果を明らかにする。
|
| 成果の内容・特徴 |
- コムギのフルクタン合成酵素1-SST(sucrose:sucrose 1-fructosyltransferase)または6-SFT(sucrose:fructan 6-fructosyltransferase)の遺伝子を導入した形質転換系統では、原品種には存在しない、β(2,1)結合のイヌリン型フルクタンとβ(2,6)結合主体のレバン型フルクタンがそれぞれに蓄積する(図1)。
- 26℃/19℃(16時間日長)の人工気象室で10日間育てたイネ形質転換系統の幼苗では、原品種ではオリゴ糖が殆どないのに対し、フルクタンが蓄積し、その含量は1-SST遺伝子導入系統の方が高い。また、フルクタン蓄積が顕著な個体では、可溶性総糖含量も増加する(図2)。
- 上記形質転換系統の幼苗を5℃弱光下で11日間処理した後に26℃/19℃の人工気象室で1週間生育させると、原品種では生育を再開する個体の率(生存率)が10%程度に留まるのに対して、フルクタンを高蓄積する1-SST遺伝子導入系統では生存率が有意に向上し、最高で約90%の生存率を示す(図3)。
|
| 成果の活用面・留意点 |
- フルクタン合成酵素遺伝子を用いた作物の耐冷性向上技術として活用できる。
|
| 図表1 |
 |
| 図表2 |
 |
| 図表3 |
 |
| カテゴリ |
乾燥
寒地
抵抗性
品種
|