タイプ別に見た法人経営の継承に関する問題点と対策

タイトル タイプ別に見た法人経営の継承に関する問題点と対策
担当機関 北陸農業試験場
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約  北陸地域の土地利用型農業生産法人(共同経営)の経営継承の特徴と傾向を整理し,タイプ別に問題点と運営上の対策を提示した。法人の性格によって、継承の方向が分化し、運営上の対策もその違いに注意する必要がある。
背景・ねらい  法人化推進の中でも、設立や運営方法に比べ、継承面からの検討は十分といえない。経営継承の観点から、組織構成タイプ別に法人経営の問題点と運営上の対策を提示する。
成果の内容・特徴
  1.  経営継承者を確保している法人は、I.個人有志型、II.有志と農家連合の中間型、III.農家連合型、IV.集落ぐるみ型の4タイプに分けられる。目的や経営方針、事業内容、企業形態の面で拡大しつつある違いが、経営継承に与える影響は大きい(表)。

  2.  タイプごとの継承面での特徴と問題点、運営上の課題と具体的対応策を表に示す。
    (1)「個人有志型」では、家族に固執しない人材確保志向が強いが、ノウハウはまだ確立されていない。特に失敗例からは、後継者の能力や意欲を生かせる事業部門の検討や、継承者が将来設計を考えられる余裕を確保することなどが、注意点として挙げられる。
    (2)「有志と農家連合の中間型」には、Iタイプへの移行をにらんで組織運営を進めている法人もあるが、多くは継承方向を模索している。その際、「共同組合」的な運営意識や方法が、継承候補者の枠をせばめるなど、経営継承に対してデメリットとなる面がある。経営継承を重視する観点からの運営方法や経営形態の再検討を行う必要がある。
    (3)「農家連合型」では、「家族、親子関係」が持つメリットは十分生かす一方で、ともすれば親世代が経営権を持ち続けることにより、後継者の意欲を削ぐなど、デメリットが出るケースに注意する必要がある。そのため、経営的な意思決定に関して、計画的に特権委譲を進めることや、世代ごとに部門を分けるなど、裁量を発揮できる環境作りも重要である。
    (4)「集落ぐるみ型」では、運営目的が集落農地の維持管理であるため、上の3タイプと展開の論理が異なる。このタイプでは経営者の役割への評価が低いことが問題となる。そのため、経営者層の意欲を重視し、運営方法や報酬分配、事業の範囲や内容を再検討する必要がある。
成果の活用面・留意点
  1.  本情報は注入タイプに応じて経営継承まで配慮した運営指導に役立つ。
  2.  特にIIタイプは、今後、注入によって、継承方向が分化していくと考えられるので、それぞれ継承の観点から、今後の事業構成や運営意識・方法を検討する必要がある。
図表1 214065-1.gif
カテゴリ 経営管理 にら

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