タイトル |
イネ褐条病菌ともみ枯細菌病菌の薬剤感受性 |
担当機関 |
富山県農業技術センター |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
1997年に県内で分離された褐条病菌のすべてがオキソリニック酸に、その76%がカスガマイシンに耐性である。また、1996・97年に本県を含む1府5県で分離されたもみ枯細菌病菌の82%がオキソリニック酸に耐性であることから、該当薬剤使用地域では、これら耐性菌の発生に注意する。
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背景・ねらい |
ここ数年、富山県内では褐条病などの細菌性病害の発生が増加傾向にある。その要因の一つとして薬剤効果の低下が考えられる。そこで、県内で発生した褐条病やもみ枯細菌病(苗腐敗症)から病原細菌を分離し、オキソリニック酸とカスガマイシンに対する薬剤感受性および数種薬剤の防除効果を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 褐条病菌ともみ枯細菌病菌のオキソリニック酸とカスガマイシンに対する感受性(MIC値)を検定した。
- 褐条病菌:1982・83年に北陸地域で分離された4菌株のMIC値はオキソリニック酸には0.2ppm、カスガマイシンには25ppmであり、両剤に感受性であるのに対し、1997年に富山県で分離された132菌株のMIC値はオキソリニック酸にすべて25~50ppm、カスガマイシンには、その76%が1600ppm≦であり、両剤に耐性を示す菌株が多い(表1)。
- もみ枯細菌病菌:1967~91年に24県で分離される99菌株のすべてがオキソリニック酸に0.2ppm前後のMIC値を示し感受性であったのに対し、1996・97年に本県を含む1府5県で分離された33菌株の82%がオキソリニック酸に50~100ppmのMIC値であり、オキソリニック酸耐性が広く発生している。一方、供試菌株のすべてがカスガマイシンには25~50ppmのMIC値を示し、感受性である(表1)。
- 薬剤防除試験において両細菌の耐性菌株を接種した場合、該当薬剤の防除効果は認められず、菌と薬剤の組み合わせによってはむしろ発病は助長される(図1、2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 薬剤耐性菌の発生地域では該当薬剤の使用を控える。
- 薬剤による選択圧の結果、育苗箱では耐性菌のみが検出されることがあり、耐性菌の発生地域を正確に把握するためには、使用した籾に存在する病原細菌の薬剤耐性程度を明らかにする必要がある。
- MIC値の検定には、pH6.8の普通寒天培地を用い、カスガマイシンは蒸留水に、オキソリニック酸は0.1N水酸化ナトリウム溶液に溶解して培地に添加する。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
耐性菌
防除
もみ枯細菌病
薬剤
薬剤耐性
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