灰色低地土の重窒素で標識した土壌窒素の無機化過程と可給態窒素量の推定

タイトル 灰色低地土の重窒素で標識した土壌窒素の無機化過程と可給態窒素量の推定
担当機関 富山県農業技術センター
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 重窒素で標識した灰色低地土水田土壌の、湛水培養下における土壌窒素の無機化過程から、土壌窒素中の可給態窒素量を推定することができる。但し、新たに有機化された重窒素は、土壌中の重窒素濃度が均一化するまでに1年程度が必要である。
背景・ねらい 中粗粒質灰色低地土水田においても、水稲が吸収する窒素のうち、約60%は土壌由来の窒素であり、水稲の施肥管理のためには土壌の窒素供給力を把握する必要がある。そのため、土壌窒素中の可給態窒素量を推定する必要が、従来法によると換算値を仮定するなど相対値しか求められず、絶対値の推定法が必要とされている。
成果の内容・特徴
  1. グルコースと重窒素標識硫安を土壌に添加することによって、重窒素は有機化され、土壌に固定化される。新たに有機化された窒素の一部は速やかに無機化される(図1)。
    そのため、有機化直後の土壌では、無機化する窒素の重窒素濃度が変化することから、土壌中の可給態窒素中の重窒素濃度が不均一になると考えられ、可給態窒素量の推定には不適である(図1)。
  2. 重窒素で標識された土壌から無機化される窒素のAtom%は、しだいに一定値に収束することから、新たに有機化された窒素はバイオマス窒素との間で可逆的に移動し、徐々に均一化する(図1)。
  3. 前年の水稲作付期間中に有機化された重窒素をも含む土壌窒素の無機化過程において、無機化した窒素の重窒素濃度は、生土および風乾土で共に培養時間の経過に無関係に一定(0.52%)である。このことから土壌中の可給態窒素の重窒素濃度と無機化される窒素の重窒素濃度は一致するので、可給態窒素中に均一に重窒素が分布していると考えられる(図2)。
  4. 以上のことから下記の等式が成り立ち、供試土壌の全窒素量(220mg/100g)に占める可給態窒素の割合は約29%であり、これは従来法による推定値の2~3倍であった。
    220×0.41 = (220 - No)×0.364 + No×0.52
    (No:可給態窒素量、0.364:重窒素自然存在比)
     上式より
    ( 0.41 - 0.364 )
     全窒素に占める可給態窒素の割合(%) =───────── × 100 = 29
    ( 0.52 - 0.364 )
成果の活用面・留意点
  1. 供試する土壌は、有機化によって重窒素を土壌に固定化してから1年程度経過することが必要である。
図表1 214298-1.gif
図表2 214298-2.gif
カテゴリ 肥料 水田 水稲 施肥

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