糯小麦育成を可能とするWxタンパク質を欠失した変異体の発見

タイトル 糯小麦育成を可能とするWxタンパク質を欠失した変異体の発見
担当機関 国際農林水産業研究センター
研究期間 1993~1993
研究担当者 山守 誠
長峰 司(国研セ)
中村俊樹(東北農試)
発行年度 1993
要約 アミロース合成に関係するWxタンパク質の欠失性を世界の小麦遺伝資源を用いて明らかにした。新しく発見された欠失変異体は、糯小麦育成を可能にした。
背景・ねらい 麺用小麦の高品質化においては、麺の粘弾性を高めることが一つの課題である。小麦澱粉中のアミロース含量が低いほど麺の粘弾性が増し、食味がよくなるとされている。本研究では、アミロース合成に関わる酵素であるwaxy(Wx)タンパク質の小麦遺伝資源における欠失変異をSDSゲル電気泳動法(SDS-PAGE)と二次元電気泳動法を用いて解析した。特に、糯小麦育成を可能とする新変異体の発見をめざした。
成果の内容・特徴
  1. 小麦には3種類のWxタンパク質(Wx-A1、Wx-B1、Wx-D1)が存在する。したがって、各Wxタンパク質の有無に基づけば、小麦を表1に示した8つのtypeに分類できる。このうち、Wx-A1タンパク質を欠く小麦はトルコ、日本および朝鮮半島に比較的高頻度で存在した。Wx-B1タンパク質を欠失した小麦はオーストラリアとインドに多く発見された。一方、Wx-D1タンパク質を欠く小麦は中国に1品種のみ発見された(表2)。Wx-A1とWx-B1タンパク質を二重に欠くtype7の小麦は日本に9品種あったが、type5、type6およびすべてのWxタンパク質を欠くtype8の小麦は存在しなかった。
  2. 日本の小麦133品種のアミロース含量(黒田ら 1989年)を表1に基づいて分類したところ、アミロース含量はtype1>type2>type3>type7であった(図1)。
  3. 3種のWxタンパク質をそれぞれコードする遺伝子(Wx-A1、 Wx-B1、Wx-D1)は異なる染色体に座乗する。したがって、日本のみに存在したtype7と中国のtype4の小麦の交雑後代から、表1のすべてのtypeが育成できる。type4の発見はすべてのWxタンパク質を欠き、アミロースを含まない糯小麦の育成を可能にした。
成果の活用面・留意点 新しく発見されたWxタンパク質欠失変異体は糯小麦育成のために活用できる。同時に育成可能なtype1~7の小麦は各Wxタンパク質の欠失とアミロース量との関係の解明に利用できる。
図表1 214526-1.gif
図表2 214526-2.gif
図表3 214526-3.gif
カテゴリ 遺伝資源 小麦 品種 良食味

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