タイトル |
乳用牛のTMR給与体系におけるトウフ粕の給与技術 |
担当機関 |
長野県畜産試験場 |
研究期間 |
1994~1995 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1995 |
要約 |
トウフ粕は従来分離給与の場合5kg(10%)程度の給与量が一般的であるが、泌乳前期のTMRにおいてトウフ粕を原物で30%混合したところ、採食性は 良好で乳量が増加する傾向にあった。一方乳成分の低下が懸念されたが、トウフ粕の飼料消化特性を考慮した飼料構成にすることにより、乳成分の低下を防ぐことができた。
|
背景・ねらい |
食品製造粕類の乳牛への給与は、乳成分の低下を招くとして酪農家においてその利用が少なくなっている。一方、農畜産物の輸入自由化、国際化時代に対応して生乳の低コスト生産が緊急の課題であり、低利用資源の有効活用が望まれている。 そこでトウフ粕と自給飼料を用いた泌乳前期のTMRにおいて、トウフ粕の混合割合および飼料構成の違いが採食性・産乳性・第一胃内溶液および血液性状に及ぼす影響について調査し、低コストで且つ乳成分を低下させない生乳の生産技術について検討した。
|
成果の内容・特徴 |
- トウフ粕を原物当り10.5%含む少量区と29.9%含む多量区、多量区と同程度の混合割合で、繊維の消化性を考慮して稲わらを乾草に換えるとともに、蛋白質のバイパス率を向上させる目的で加熱大豆を利用したUDP補強区の3区を設定し、3種類の混合飼料(TMR)の配合内容と組成を示した(表1)。また試験期間は分娩後15週間とし、21頭の乳用牛を用い試験混合飼料を不断給餌とする自由採食飼養試験を実施した。
- 乾物摂取量・乾物摂取体重比ともにUDP補強区は、分娩後4週までの早期の採食に優れ、他の2区に比べ若干多くなったが有意な差は認められなかった。また各区ともTDN充足率は100%以上であり、分娩後の体重の減少も僅かであった。(表2・図1)。
- 乳量・FCM量ともにUDP補強区は他の2区に比べ多い傾向にあり、特に10週以降の泌乳持続性に優れていた。またUDP補強区の乳脂肪率は3.46%で多量区よりも高く、少量区と同程度であった。さらにUDP補強区の乳蛋白質率は3.01%で他の2区よりも高く、少量区・多量区とも乳量がピークとなる6週前後には 2.7%台に低下したのに対し、 2.8%を下回ることなくほとんどの週において他の2区よりも高く推移した(表2・図2)。
- 第一胃内容液のpHについては各区に差はなく、NH3-NはUDP補 強区が低い傾向にあった。また総VFA量・酢酸比率は他の2区に比べUDP補強区が高い傾向にあり、A/P比も高かった。血清の分析結果については、UDP補強区のT-Cho(総コレステロール)・BUNが他の2区に比べ高い傾向にあった以外各区に大きな差はなく、ほぼ正常値の範囲内であり、繁殖関係についても特に異常は認められなかった(表3)。
|
成果の活用面・留意点 |
- TMRの場合、給与飼料乾物中のトウフ粕の配合割合は11%程度まで可能であるが、トウフ粕の飼料成分は製造工場に違うので、飼料分析を行い養分濃度を把握した上で使用する必要がある。
- 乳成分の低下が懸念される場合には、給与飼料乾物中の粗蛋白質・粗繊維・TDN濃度を通常より1%程高めに設定することが望ましい。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
図表5 |
 |
カテゴリ |
大豆
低コスト
乳牛
繁殖性改善
|