顆粒状化成肥料を用いた水稲穂肥の流入施肥法

タイトル 顆粒状化成肥料を用いた水稲穂肥の流入施肥法
担当機関 長野県南信農業試験場
研究期間 1993~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 均平かつ潅漑水量の豊富な水田において、水稲穂肥に顆粒状化成肥料を浅水とした水田の水口から施用し、さらに灌漑を続けて深水とすると水田内に肥料成分が行き渡り省力施肥が可能である。
背景・ねらい 水稲穂肥施肥は真夏の炎天下での作業となり重労働であるため省力的施肥法が求められている。これを軽減するため30年ほど前から流入施肥について検討がなされてきたが、従来の技術では液肥の取り扱い、肥料溶解用タンク等の装置が導入上問題になり現地にあまり普及しなかった。
水にきわめて溶けやすい顆粒状化成肥料の製品化により、水口からの通常の用水により容易に溶解して圃場全体に行き渡ることが想定されたので、これを検討した。
成果の内容・特徴
  1. 穂肥の場合特に窒素成分が問題になるが、田面水の電気伝導率(EC)は、無機態窒素濃度と高い正の相関があった(無機態窒素濃度mg/L=ECmS/cm×9.1-4.3、r=0.957、平成5年駒ヶ根市)。そこで田面水の電気伝導率を測定することにより肥料成分分布の指標とした。
  2. 面積9~57a規模での流入施肥直後の肥料成分分布はかなりばらつきがあるが、施肥後1~2日経過するとかなり均一化された(図1)。なお、その後の生育の観察では葉色等肥料ムラがやや認められた。
    ただしこの肥料はすぐ水に溶けた部分は水尻に偏り、溶けにくかった部分は水口部分に残って時間とともに溶け出す様相を見せており、大面積ほど水田中央部の肥料成分が少なくなると考えられた。
    肥料投入は1袋当たり1~3分程度で可能で、水管理については施肥前は1~2cm程度の浅水とし、水深が7cm以上増水すると良好な成績が得られた。
  3. 精玄米収量は9a~30a規模では慣行区との対比で89~103%となり、観察でみられたほどの収量のばらつきは認められなかった。 一方、57a区画での収量性は慣行区対比73%で、この低収は穂肥のみの影響とは考えられないものの、30a以下の規模に比べて見劣りした(表1)。これは肥料ムラ、特に肥料成分が少ない部分の面積が増大したことが大きな原因と考えられた。
成果の活用面・留意点
  1. 施用可能な水田は、次の条件をすべて満たす圃場とする。
    (1)田面の均平度が高く、穂肥直前までの稲の生育が均一であること。
    (2)水深が1時間当たり1cm以上増加できる潅漑水量が確保できること。また、水は極端に濁っていないこと。
    (3)水深が10cm以上確保・維持できる畦畔を持つこと。
    (4)穂肥時の日減水深は20~30mm以下であること。中干しによる日減水深増に注意する。
  2. 水田面積は現段階では40a以下が適当で大面積となるほど肥料ムラが大きくなることがある。また、水稲穂肥量が多い水田も肥料ムラが大きくなる可能性がある。
  3. 水口が複数ある水田では肥料を均等に分けて施用し、等量の水を供給する。
  4. 施肥完了後3~4日は潅漑しない。また、施肥後畦畔や落水口から田面水が流出しないこと。
図表1 215010-1.gif
図表2 215010-2.gif
カテゴリ 肥料 水田 水稲 施肥 水管理

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