タイトル |
本州高標高地におけるペレニアルライグラス草地による育成牛の短期輪換放牧 |
担当機関 |
山梨県酪農試験場 |
研究期間 |
1996~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
本州高標高地(標高1,200m)でジャージー育成牛を用いて短期輪換放牧を行い,ヤツボク,ヤツナミで造成した草地では安定した草地生産が示され,家畜の生産性は500kg/ha前後であった。
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背景・ねらい |
放牧技術は古くからある飼養技術ではあるが,家畜の生産性,土地の制約等の問題から最近では舎飼い中心の農家が多い。しかし,放牧は飼料生産を省力化することができ,労働時間の短縮によるゆとりの創出,また,収穫調製用機械の不要等による低コスト化という観点等から見直されはじめている。一方,最近,ペレニアルライグラス草地で電気牧柵を活用した短期輪換放牧による集約放牧(スーパー放牧)技術は,その高い家畜の生産性が期待されている。そこで,本州高標高地において山梨県酪農試験場で育成したペレニアルライグラス品種を用いてジャージー育成牛の短期輪換放牧の実証を行った。
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成果の内容・特徴 |
- 山梨県高根町清里のキープ農場(標高1,200m)でジャージー育成牛を放牧して実証試験を行った。供試したペレニアルライグラス品種は山梨県酪農試験場で育成した「ヤツボク」及び「ヤツナミ」と民間会社育成品種「フレンド」の3品種である。短期輪換放牧試験区として3区(各25a)を設け,それぞれ3品種ごとにシロクローバと混播して試験区を造成した。また,定置放牧区として1区(54a)からなる試験区を設置し,3等分して3品種を播種した。育成牛(放牧開始時体重200kg前後)を放牧に供試し,各試験区に2頭,計8頭を5月から10月まで放牧させた。
- 電気牧柵を利用して1~2日間隔で転牧させる短期輪換放牧区では草地が短草高で維持され,一方,定置放牧区では現存量は多いが雑草の混入も多かった。乾物消化率の推移をみると短期輪換放牧区では消化率が高く,高品質な草地が維持された(図1)。
- 定期的に草地の現存量とその草種構成を調査したが,3品種の中では,2年間を通じてヤツナミ区のペレニアルライグラスの生産性が高く,雑草の混入割合も少なかった(図2)。特に,フレンド区では越夏後の生産性が低く,雑草の侵入が多かった。
- 短期輪換放牧区における家畜の増体量は1年目は544~656kg/ha,2年目は416~488kg/haで,2か年平均でヤツボク区で556kg/ha,ヤツナミ区で468kg/ha,フレンド区516kg/haであり,ヤツボク区がやや高い傾向にみられたが,大差はなかった。
以上のことから,本州の高標高地において,山梨県酪農試験場で育成したペレニアルライグラスによる草地においてジャージー育成牛による短期輪換放牧を実証することができた。
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成果の活用面・留意点 |
- 本州の中・高標高地に位置する草地に適用できる。
- 適切な牧区の設計と配置が放牧管理に必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
省力化
低コスト
乳牛
播種
品種
放牧技術
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