タイトル |
水稲新奨励品種「信交485号」の栽培法 |
担当機関 |
長野県農事試験場 |
研究期間 |
1997~1999 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1997 |
要約 |
水稲新奨励品種「信交485号」の良質良食味・安定多収栽培のためには、「コイヒメ」の基肥水準よりやや減肥し、密植を避けて倒伏を抑え、幼穂10mm期に穂肥を施用するのがよい。
|
背景・ねらい |
早生・良食味品種「信交485号」は平成9年度より「コイヒメ」に替わり奨励品種に採用された。主な対象栽培地域は諏訪地方を中心に八ケ岳・浅間・黒姫・御岳山麓、下伊那山間地、北安曇の地域である。 「信交485号」の栽培法試験は平成8年度に作期、施肥法、栽植密度について試験を実施し、また平成9年度には主に施肥法、栽植密度について試験を実施した。2カ年で栽培法に関する主要な成果が得られたので栽培基準として策定を行った。
|
成果の内容・特徴 |
- 「信交485号」は「コイヒメ」より長稈で倒伏しやすいので、とくに肥培管理面に留意する。
- 「信交485号」は基肥増量による増収効果は認められない。多肥により倒伏の危険が高くなるため「コイヒメ」の慣行基肥より20%程度少な目がよい(図1)。基肥を減肥することで過繁茂を抑制し、倒伏を抑え、追肥で籾数・収量・品質を確保できる。
穂肥時期はやや遅らせ、出穂前20~18日(幼穂長10mm)頃がよい(図2)。
- 「信交485号」は「コイヒメ」に比べ初期に茎数を確保しやすい。そのため標準以上の密植は倒伏を増加させ、籾摺歩合低下、品質低下しやすい(表1)。
栽植密度の適正範囲は畦間30cmの場合、株間12~18cmである。
- 「信交485号」の移植時期は普通期植が倒伏少なく、収量・品質ともに安定して高い。
早植は倒伏が増す危険があり、晩植は生育量が不足して減収しやすい。また品質低下しやすい。(図3・図4)。
- 「信交485号」は育苗期の高温により徒長しやすく、苗質を低下させやすい。そのため苗代の温度管理を適正に行う。
|
成果の活用面・留意点 |
- 普及地域は県下の標高800~1,050m、中信北部及び北信・東北信の霧下は標高700~1,000mの地帯。
- 2カ年の試験結果なので、広範囲の利用にあたってはさらに年次検討を要する。
- 耐冷性は強いが、冷温来襲時には、深水管理等の冷害対策を実施すること。
- いもち病抵抗性遺伝子pi-a,kを持ち、これを侵す菌が増加すると多発する場合があるので、適期防除につとめる。
- 早生品種のため、高冷地以外では比較的高温時の成熟となり、収穫遅れにより胴割れが発生して品質低下を招く恐れがあるので、適期収穫につとめ、良質米を生産すること。
- 穂肥の増量は、登熟期間が延引し、気温低下の早い年には青米が増加し登熟不良となる危険が考えられるので、避ける。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
図表5 |
 |
カテゴリ |
肥料
病害虫
育苗
いもち病
温度管理
水稲
施肥
抵抗性遺伝子
凍害
肥培管理
品種
防除
水管理
良食味
|