天蚕の母蛾検査法と微胞子虫の性状

タイトル 天蚕の母蛾検査法と微胞子虫の性状
担当機関 長野県南信農業試験場
研究期間 1997~1999
研究担当者
発行年度 1997
要約 天蚕の微粒子病防除のため家蚕に準じた母蛾検査方法を策定し、また、天蚕に寄生する微粒子病原虫の性状を明らかにした。
背景・ねらい 天蚕の主要病害の一つとして微粒子病があげられる。本病は寄生する微胞子虫の種類によっては経卵伝染するため、本病に感染していない母蛾が産下した卵かを確認するための母蛾検査を行う必要があり、その手法について検討を行う。また、天蚕から検出・分離された微胞子虫類について胞子形態、病徴などの性状を調査し、母蛾検査をはじめとする本病防除に資する。
成果の内容・特徴
  1. 天蚕母蛾検査の手法
    • 採卵は1蛾採りとする。産卵終了後の母蛾は、受精卵産下蛾の腹部を切り取り、産下卵に対応するよう1蛾別(1蛾別検査)または蛾区別(集団検査)に封筒等に収納し、乾燥(70℃、6時間)させ保管する。
    • 母蛾検査は採卵規模がごく小規模(20蛾以下)の場合は1蛾別検査とし、通常規模では10~20蛾を1蛾区として集団検査とする。
    • 母蛾検査方法は家蚕蛾の検査法に準じて行う。
  2. 天蚕から検出・分離された微胞子虫の性状
    • 本県で天蚕から分離された微胞子虫類についてはノゼマ型(Nosema sp.)とプリストフォーラ型(Pleistophora sp.)のものが1種ずつ認められている(図1)。
    • Nosema sp.は、胞子の大きさは3.8μm×1.8μm(表1)で、天蚕に対する病原性はきわめて強く(表2)ほぼ全組織に感染し、全身に黒色の明瞭な病斑を生じ、経卵伝染が認められ、かつて大被害をもたらした記録がある。なお、家蚕への感染は認められない。
    • Pleistophora sp.は、胞子の大きさは3.0μm×1.5μm(表1)で、前種よりも病原性は弱く(表2)、中腸のみに集中的に感染するため、中腸感染部は乳白色化し、蚕糞中に多量の胞子が確認された。生殖巣には感染が認められず、感染母蛾が産下した卵中胚子を磨砕検鏡したところ胞子は認められなかった。なお、家蚕への感染が認められる。
成果の活用面・留意点
  1. 天蚕卵に余裕がない場合は、1蛾別に保管した母蛾腹部1/2の20蛾分を1蛾区として集団検査をし、胞子が検出された蛾区について残腹部を1蛾別検査し、感染母蛾を特定する。
  2. 母蛾検査の結果、微胞子虫の胞子が検出された場合、ノゼマ型のものはもちろん、プリストフォーラ型のものの場合も、安全性を考慮して検出された蛾区から採取した卵は焼却、廃棄する。
カテゴリ 病害虫 乾燥 防除

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