稲体の充実度を標準温度変換日数で考慮した栄養診断法

タイトル 稲体の充実度を標準温度変換日数で考慮した栄養診断法
担当機関 長野県農事試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者
発行年度 1997
要約 コシヒカリの穂肥期において、稲体の充実度(本田期間の標準温度変換日数DTS値で代替可能)、草丈・茎数、葉色(葉緑素計)によりN吸収量の推定を行い、最適N吸収量との関係から栄養診断を実施する。
背景・ねらい 有機物を施用した栽培等ではその独特な肥効が現れるため、新たな栄養診断法の開発が望まれている。そこで多様なN供給パターンに適用可能な穂肥期の診断方法を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 異なる年次、場所、土壌条件でN吸収量と玄米収量、倒伏の関係について検討した。化肥、有機栽培とも幼穂形成期のN吸収量が5~6kg/10aを越えると倒伏が顕著になり、収量も頭打ちになった。そこで、これを幼穂形成期の最適N吸収量とする(図1)。
  2. 葉緑素計では葉身部のN含有率のみ評価可能なため、本法では茎葉部を葉身部と葉鞘部に分け、各々のN含有率、乾物重の推定によって求めたN吸収量を合計して水稲のN吸収量とする(図2)。
  3. 水稲は生育に伴い茎は太く硬くなり葉も広く厚くなる。また、中盤から葉身より葉鞘の発育が旺盛になるため、本法では「稲体の充実度」という指標を導入した。これは本田期間が長く高温なほど顕著であり、移植翌日~診断前日までの標準温度変換日数DTSで代替できる。なお、見かけの活性化エネルギーは25kcal/molが最適である。
  4. 従来法「草丈×茎数」で推定した茎葉部乾物重は年次、場所、時期が異なると推定精度が低下した。しかし、本法では稲体を円柱とみなして計算した重量「底面積×高さ×密度」を「茎数×草丈×稲体の充実度」で近似させた結果、高精度な推定が可能である。また、葉身部、葉鞘部乾物重は茎葉部乾物重と4√充実度値で推定が可能である(表1)。
  5. 水稲は生育に伴い葉身厚等が増すため、透過光による葉緑素計ではN含有率を過大評価してしまう。そこで、4√充実度値を考慮すると推定精度が高まる。また、葉鞘部N含有率は葉身部含有率と一定の関係があり、推定が可能である(表1)。
  6. 本法のN吸収量推定方法の有効性について検証を行ったところ、標準誤差は0.85kg/10a、標準誤差の変動係数は16.5%であり、栄養診断に使用可能な精度である(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 検量線、本田期間の気温を表計算ソフトに入力し、現地にノートパソコンを持参して診断を行う。気温はネットワークを通じてAMeDAS値がリアルタイムに入手可能である。
  2. 当面は推定精度の点から、窒素吸収量が過多な場合、穂肥診断が難しい場合等での減肥の可否判断に主に利用する。
図表1 215555-1.gif
図表2 215555-2.gif
図表3 215555-3.gif
図表4 215555-4.gif
カテゴリ 有機栽培 肥料 栄養診断 水稲

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