タイトル |
生産から消費に至る青果物品質評価構造の解析 |
担当機関 |
三重県科学技術振興センター |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
生産から消費(試験場、生産団体、卸売市場、量販店、消費者)に至る青果物(トマト、イチゴ、ミカン)の品質評価を計量的に解析した。卸売市場の重要度は量販店や料理教員の消費者側評価と大きく異なり保守的であると考えられる。また、評価パターンは生産者側重視型、卸売市場重視型、消費者側重視型に分かれる。
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背景・ねらい |
青果物産地の品質評価は卸売市場に依存していると言われているが、消費者、量販店の評価に対する卸売市場評価が計量的に比較されていない。また、産地側の内部組織間での評価の統一も規格のみとなっている場合が多い。このため生産から消費に至る青果物の品質評価構造を体系的かつ計量的に明らかにし、産地戦略に資する。
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成果の内容・特徴 |
- AHPの計算を用いた一対比較法による青果物品質評価モデルの階層構造を図1のように構築する。分析対象は県農業試験場(試験研究)、専業農家・農協(生産団体)、卸売業者・仲卸業者(卸売市場)、食料品スーパー(量販店)、料理学校教員(消費者)である。
- 青果物に対する豊富な情報や知識を持ち味覚にも優れた料理学校教員は、近年マスメディアでも注目され多くの消費者に直接的・間接的に強い影響を与えていることから、消費者段階における早期採用者として捉え、この重要度との比較解析を行う。
- 生産から消費に至る重要度の変化のパターンは、生産者側重視型、卸売市場重視型、消費者側重視型に分かれる(図2)。例えば、嗜好性は生産者側で重要度が高く消費者側で低い。流通鮮度は卸売市場で重要度が高い。栄養・健康と安全性は生産者側で低く、消費者側で高いなどである。また、生産者重視型は卸売市場に影響を受けていると考えられることから、卸売市場重視型、消費者側重視型の2タイプに整理もできる。
- 評価主体の中間に位置する卸売市場において、重要度パターンが大きく変化する評価基準が多いが、これは卸売市場が「現実対応型評価」或いは「保守的評価」を行っているためであろうと考えられる。
- 卸売市場の保守的な評価が存在することから、卸売市場と消費者・量販店の評価に対して優先度を決定するなどバランスある産地対応を行う必要がある。また、産地の内部組織として捉えられる試験研究と生産団体の評価を近づける必要がある。
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成果の活用面・留意点 |
三重県産青果物の流通圏における品質評価構造の解析を行ったものである。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
いちご
トマト
評価基準
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