タイトル |
かき「新秋」、「前川次郎」の促成栽培における温度管理指標 |
担当機関 |
静岡県柑橘試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
1月上中旬からの被覆加温で「新秋」は7月収穫、「前川次郎」は8月収穫が可能である。かき促成栽培用品種としては「前川次郎」が結実性がよく安定している。
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背景・ねらい |
静岡県における甘がき栽培の品種は「前川次郎」と「次郎」に限られているため、出荷最盛期には一時的な供給過剰により価格が低迷する。出荷量の平準化を目指した促成栽培のための温度管理法を検討し、「新秋」および「前川次郎」の促成栽培体系モデルを作成した。
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成果の内容・特徴 |
- 1月上中旬被覆加温開始の栽培体系で、「新秋」は日最低気温を20℃で管理することにより7月収穫が可能である。「前川次郎」は開花前の日最低気温を20℃、開花後を25℃で管理することにより8月収穫が可能である(図1)。
- 促成栽培用の品種としては、結実性が良く、安定した収穫量が見込まれる「前川次郎」が適している。「新秋」は結実性に課題は残るが「前川次郎」に比べ1ヶ月程度前に出荷が可能であり、促成栽培に有望な品種である(図1、表1)。
- 開花前の温度管理は、日最高気温が同一の場合、日最低気温が高いほど生育を促進し開花期が早まる。1月上中旬被覆加温開始では「新秋」、「前川次郎」共に日最低気温20℃で開花期は3月上旬、15℃で3月中下旬、10℃で4月上旬であり、それにつれて収穫期も早まる。しかし、開花前の日最低気温が生理落果や果実肥大、果実品質に与える影響は小さい(図1)。
- 開花後の温度管理も、日最高気温が同一の場合、日最低気温が高いほど生育を促進し収穫期が早まる。しかし、「新秋」、「前川次郎」共に日最低気温が高いほど生理落果が多くなる(図1、表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- かきの自発休眠の覚醒期は地域や気象条件により左右されるので、低温遭遇時間などの指標を用いて覚醒期を的確に把握し被覆加温時期を決定する。
- 開花後の日最低気温を20℃以上にすると生理落果が多くなり、収量が減少する恐れがあるので温度設定に注意する。特に「新秋」では日最低気温を25℃まで高めると落果が著しくなる。
- 暖房のためのコストが費用全体に占める比率が高いので、収支バランスを常に計算して所得の向上を図る。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
温度管理
かき
コスト
栽培体系
出荷調整
品種
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