複合性フェロモンによる野菜鱗翅目害虫の防除

タイトル 複合性フェロモンによる野菜鱗翅目害虫の防除
担当機関 埼玉県農林総合研究センター
研究期間 2000~2003
研究担当者
発行年度 2000
要約 複数の作物がモザイク状に分散する野菜地帯において、複合性フェロモン剤を用いた交信攪乱法の適用は、多種の野菜類を加害するハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ、コナガの防除が可能である。
背景・ねらい 野菜栽培では複数の鱗翅目(チョウ目)害虫が問題になるが、交信攪乱剤の多くは、単一のターゲットだけにしか効果がない。各対象作物がモザイク状に分散した野菜地帯では、作物毎で農家の利害が一致しにくく、性フェロモン処理による防除の普及が遅れている。そうした欠点を補うために複数の害虫を対象にした製剤が果樹を中心に市販されているものの、野菜では実用化されていない。そこで、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ、コナガ、ネギコガ、タマナギンウワバ、ヨトウガといった野菜鱗翅目害虫を対象にした複合性フェロモンを試作して、これらの同時防除を試みた。
成果の内容・特徴
  1. 埼玉県本庄市の野菜地帯(主な作物は、ネギ、ヤマノイモ、ブロッコリー)において、コナガ、オオタバコガ、ネギコガ、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、ヨトウガ、タマナギンウワバといった鱗翅目害虫を対象にした複合性フェロモンの効果を調査した。8月22日に50haの処理区に、10a当たり100本合計5万本のディスペンサーを長さ50cmの篠竹の頂上部にそれぞれ4本づつくくりつけたもの12,500本を、地区内にほぼ均等になるように設置し、上記7種の鱗翅目害虫の誘引阻害効果(2000年8月~10月)、つなぎ雌による交信攪乱効果(8月、9月及び10月に実施)及び幼虫密度を調査した。対照ほ場は隣接した地区に3ヶ所設置し同様の調査を行った。
  2. 交信攪乱剤処理区のハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ、ネギコガ及びタマナギンウワバの雄成虫のフェロモントラップへの誘引数は、無処理区と比較して明らかに少なかった(図1)。コナガとヨトウガは発生密度が低く、2つの区間での差は明確でなかった。
  3. ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ及びコナガのつなぎ雌による交尾率は無処理区と比較して処理区の方が有意に低く、交信攪乱効果が認められた(表1)。
  4. 以上のことから、野菜用複合交信攪乱剤はコナガ、オオタバコガ、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウの4種の害虫の交信攪乱剤として有効であることが判った。
成果の活用面・留意点
  1. 平成13年度から登録のための試験を実施する予定である。
  2. 今後、ヨトウガ、ヤマノイモコガ、ナガイモコガなど他の鱗翅目害虫への効果も調査する必要がある。
図表1 216408-1.gif
図表2 216408-2.gif
カテゴリ 病害虫 害虫 くり 性フェロモン ねぎ フェロモン ブロッコリー 防除 野菜栽培 やまのいも

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