タイトル |
水田の表面排水性の良否を示す乾湿区分図 |
担当機関 |
千葉県農業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
ランドサットTMデータと降雨後の水田表層の水分率変化から作成した乾湿区分図で、千葉県水田の表面排水性の良否がわかる。降雨24時間後に表層の土壌水分がほとんど低下しない排水性が非常に悪い水田の面積割合は21%、体積水分率の低下量が6%以上で排水性の良い水田は14%である。
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背景・ねらい |
水田の表面排水性は水稲直播栽培の導入と水田畑利用に大きく関係し、これを表す図は経済的な農業機械の導入と地域的な排水対策を進める上で有効な情報である。ランドサットTMデータでは地表面の水分状況を判別できるので、TMデータの解析結果と現地水田における降雨後の土壌水分の低下程度から、表面排水性の良否を階級区分した区分図を作成する。
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成果の内容・特徴 |
- 地表面の水分が多いと中間赤外光の反射強度は低くなるが、ランドサットTMバンド5データはこの強度(CCT値)を観測している。
- 降水量の地域差や耕起などによって、水田表面の水分状況は異なる。観測前の降水量と年次が異なる4つのTMデータを合成することで、水分状況の相違を小さくできる。
- TMデータ合成画像のバンド5のCCT値は、体積水分率が高い水田ほど低く、CCT値から水田表面の水分状況を推定することができる(図1)。
- 降雨後に表層(0~5cm)の体積水分率の変化量が大きい水田ほど、合成画像のCCT値は大きい(図2)。
- 合成画像のCCT値と水田表層の体積水分率変化量の関係から、10mm程度の降雨24時間後に体積水分率の低下量が0%、0~2%未満、2~4%未満、4~6%未満、6~8%未満、8%以上と、表面排水性を6段階に区分した乾湿区分図を作成できる(図3)。
- 排水性が非常に悪い水田は、利根川下流沿いと九十九里低地の海岸沿いに多く、比較的良い水田は印旛、手賀沼周辺と県南部に分布し、排水性の良好な水田は県南部に多い。
- 体積水分率の低下量が0%の面積割合は21%、0~2%未満は19%、2~4%未満は26%、4~6%未満は21%、6~8%未満は11%、8%以上は3%である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 1ha未満の水田について排水性の良否を判別することは困難であるが、数ha程度のまとまりがある水田群では判別可能である。
- 降雨24時間後の体積水分率の低下量は、日減水深に読み替えることが可能である。すなわち、体積水分率の低下量6%は、日減水深が6mm/日である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
直播栽培
水田
排水性
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